up:: Ayama
「ほら、一日を楽しもうよ! いつか思い出したときに、誰にだって誇れるくらいに!」
ヴィーラ・ミルミラータ。ノッキナー・ノール。ビスカーニャ・エノム。ロナフ・リット。クァントニカッチ。カフマニカ。兎咲一成、穂津々紀有城、沓川義弥、真禾浩平。
一日スペシャリスト。何の行事も記念もない日に現れ、一日の楽しみ方を教えてくれる。
実態は一日を繰り返すループ系。一日の終わりに姿を消し、同じ日の別の場所に現れる。二のn乗回繰り返すと終了、次の日に進む。人によって態度をかなり変えるので、同一だとは考えられない。
次のループに持っていけるのは幸せな記憶だけ。なので何もかもを楽しもうとしている。これをきちんと次のループに何度も持って行けているあたり、彼女のパーソナリティは完膚なきまでにぶっ壊れている。ポジティブシンキングの怪物。
ちなみに幸せな記憶だけなので、名前も都度忘れてる。最初の頃は手続き記憶までごっそり持って行かれ、親切な人に思い出させてもらった。何端?
そのせいで日々に疑問を持つことを止めている。そうしたら、今日を忘れてしまうから。それに一回も疑問を持ったことがないと考えられることこそ持たない理由。
高目は現れる瞬間の物質濃度に着目して捕獲するが、結局彼女から学び取れたのは移動法のみ。それでいいんだけどさ。
パッと見で分かるが、誰かの差し金入り。こんなきっちり整った自然があるもんか。
三波の姉。
類は友を呼ぶをガチで信じており、自分の理想を演じることで理想の人を探している。通称類友ガチ勢。
日々の繰り返しを。
当たり前の幸せを。
私は覚えていたかった。
中途半端にループが解けかかっているのが問題。ラストは30乗、つまり一ヶ月で止まる。なお最後の日は10億日=300年程かかります。
ずっと練習だった。
今日この日、自分が何をして、何を考えていたかっていうのはね。
自分しか知らないし、自分しか覚えてない。私が忘れてしまえば、消えてしまうの。
だから、覚えていなくちゃ。私は何もかもを覚えておきたい。残していたい。
私はここにいたんだ、って。
ありがとう、過去の私よ。
あなたが失敗した事を、私は無駄にしなかった。
あなたの失敗は、無駄などにはならなかった。
幸せだわ、この世の何もかも全てあらゆるものが私の幸せになるの!
これは悲しいことだ。泣き喚いたって許されるし、そうなるのが普通だ。
だけど、今までの私が邪魔をする。
忘れたくないという思いが、それを愉快だったと結論付ける。
これは、本心なのだろうか。
死を知りたかった。
だから、どこまでも、誰よりも、何よりも輝いて生きてやろうと思った。
明日の自分のためなら、私、いくらだって今日《わたしのしたい》を捧げられるの!
いいな
高目さん!?
昨日のことなど、覚えていない。
だったら私は、無意識に賭けるしかない。
明日の私よ、安心してほしい。昨日の私がそうしたように。
貴方の成長は、私が保証する。
ああ、たのしさをわけてあげないと!
こんなループの楽しさを知らないなんて不幸だわ!
類は友を呼ぶ。友は類を呼ぶ。
それならいつか、自分も何か一つのために命をかけられるのだろうか。
記憶をなくすからやたらと鋭い洞察力
これ置き手紙さんでは?
過去の私が残した言葉が、今の私を引き上げる。
6月、17日。
私達は一斉に、ある一人の女性のことを知った。
初めは変なガキだなーって思ってて
ちょっとつっけんどんだけど優しい女の子だったね
見目麗しい女性だったよ
若き女性社長? みたいな? 力溢れた感じだった
おちゃめなおばさんでねぇ
矍鑠とした様の初老の女性だった。間違いない
すっげー可愛い婆さんだったな
眼の前で、急に倒れて、私、助けなきゃって、でも
あの人、自分が大変なのに、わた、わたしの、頭を撫でて、『ありがとう』って……、それで……。
6月が特別なのは、他の月が特別だからです。
お零れですよ。特別に。
昨日から授かった、私のナイフだ。
私は、それを明日に繋ぐんだ。
馬鹿げてるぜ、おまえ!
昨日なんかに縛られちまってるんだ!
今のお前はどう考えてる? 今、お前はどうしたい!?
昔の自分がやったこと、今のお前はどう思ってやがるんだ!?
いつだって、今!
意味づけるのは今しかねぇのさ!
最後の最後、作品の最後は丁度この十億日後
或いはその日をまた思い出す。