「私の能力は『運命を操る程度の能力』。じゃあ、この力は一体どこまで運命に干渉できると思う?

 「何もできない」。

 私は、この力で自ら運命を変えたことなど一度も無いわ。

 天狗の新聞を読んだことはあるかしら? 少し前、射命丸という天狗に、私の能力の種を明かしたことがあるの。

 もちろん彼女も新聞を作っているから、そのことはきっちり載せられたわ。けれど、その新聞に書いてあることは、誰も真面目に受け取ろうとしなかった。

 ……天狗が悪いかって言われたら、まあ、七割くらいは悪いと思うけど。

 でも、残りの三割は違う。皆こう言っていたわ。「あの紅魔館のトップが、そんな能力だけで済むはずがない」「これはただの力の一端だ」「本当の力はもっと凄いに違いない」。……「だって、彼女はあんなにも強いのだから」。

 不思議なものよね。強いやつには、自分たちには願っても手が出ないほどの、特別な強い力がある。そう思い込んでいるんだもの。

 『運命を操る』なんて大言壮語。

「だから私は――ええ、そうね。勝手に期待していたのよ。あなたに」