「いらっしゃいませ」

「何にしましょうか」

「……麦茶」

「かしこまりました」

「考え事ですか」

「うん……うん、そうだね。間違いなくそうだし、それがどうしてなのか考えを聞かせてほしいところだ」

「飼っていた猫が帰ってこない」

「まあまあよくある」

「土地を買ったが詐欺だった」

「その中間の規模感で」

「自宅でゆっくりできない」

「それはね、今から無くなりそうだよ」

「素晴らしい事ですね」

「それが自宅に勝手に作られた酒場じゃなきゃね!」

「流石に頭が追いつかないよ。何? ここ俺の家だよね?」

「二階はそうですね」

「一階もそうだよ!? 勝手に横割り二世帯にするなよ!?」

「大変アクセスが良く、繁盛しております」

「だろうなぁ! だって五番長の家だからなぁ! どこへも行きやすい場所に建ててんだよなぁ!」

「しかしここ数ヶ月帰っていないようですが」

「それはぁ! ……ちょっと仕事に監禁されてて……いや、でも今日帰ってきたから! 少なくとも土地の権利は残ってるだろ!?」

「領空までなら」

「どうしても俺を上に押し込めたいの!?」

「代わりにやすらぎの空間をご提供いたします。どうぞ」

「何を提供しようが全面アウトなんだが! ……あ、すげぇ美味い。麦茶ってこんな美味いのか……いやアウトだが……」

「しかしこれからまた仕事ではありませんか」

「いいんだ……今日からリモートワークだから……この麦茶飲みながらなら最高だな……いやいや……いや……」

「仕事の合間で空いた家をリース契約しようと思いましたが……仕方ありません。別の場所を探し」

「待った!」

「ふむ。では、少し考えてみて下さい。ここは開発区、いつ建物が壊れてもおかしくない場所。そんな中、数ヶ月放置されている大変状態の宜しい建物がございます。よく家無しになる周りの方々はどう思われるでしょうか」

「騙されるか! 知ってるぞ! その壊れる要因はたいてい実験の失敗の自業自得だって! だから部屋を貸そうとはならない!」

「私はその方々から数ヶ月家を守り抜きました。その分の礼をいただきたい」

「礼の押し売り!」

それ聞いてなんで開店した!? 完全に俺の家って調べついてるじゃねーか!」

「ふむ……

パブリックが侵略してくる!