「だらァァァ!!」
叫び声とともに、鋭い軌跡を描いてドアが吹き飛ぶ。人を守るためにあったそれは、もし人であったならば、こう言ったのだろう。「先に行け」「後は任せた」と。
もうもうと立ち込める砂煙を切り裂き、彼らは走り出した。その姿を見た包囲網は一瞬息を呑み、そして一気に襲いかかる。抜かれないよう、崩されないよう、横三列ほどに固まって。
「行儀がいいこったなぁ!鳴雷ッ!」
列の中心が弾け飛ぶ。開いた空間を男が走り抜け、続いて二人がなだれ込む。その間にも徐々に包囲網は閉じていくが、しかし決して道が埋まることはない。黒い水が踊る。銀の銃弾が飛び交う。
「ひゃっほーどいたどいた!道を開ければ痛くしないぞー!」
「ちょっ……早っ……くぅっ、キャタピラオープン!機関銃加速!」
一塊の流星となった彼らは、やがてドアの場所に辿り着き、それを踏み越えさらに先へ跳んだ。目指すは一つ。大きく聳え立つビルだ。
「楢名、奏海! テメェら分かってんな!」
「イエスだぜ! カナちゃん、両側持ち手の刃物出して!」
「刃物!? 専門外なんですが!」
「何秒待ちぃ!?」
「十五秒!」
「んなら今が交替だなぁ! ワーズ……