「……それで、どこに行きたかったの?」
「え?」
「景色を見るにしては、視線がずいぶん地面寄りだわ。道を探すのが主目的だったんじゃない?」
「……驚きました。流石は管理局」
「え、あ、うん。そうね。えっと、場所を教えてくれたら、地図に描いてあげるけど」
「本当ですか? 助かります。何分土地勘がないもので。早めに来たのも、現地で絶対迷うと思ったからなんです」
「あー、大変ですよね。特にこの街は前後左右に、上下もありますから。下手に迷えばそのまま……」

「……迷ったら壁伝いで帰ってこれますからね。覚えていてください」
「は、はい」

「ではどうぞ。楽しんでいってくださいね」
「ありがとうございます」

「お話し中すみません」

「quoi!?」

「丁乃さ…ん。火急の要件ですが」
「あー良いわここで。何かしら」

。知らなきゃ大変だけど、説明できる類じゃないから……

「……であれば、落ち着いている今のうちによろしいでしょうか」

「何かしら?」

「どうして挙動が不審なのですか?」