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この場所も、ずいぶん長く使ったな。
外は雲の上、右手には見通せない黒色、後ろには木の根が張った部屋。
目の前には、大聖堂みたいに大きな窓。そこから黒いくらいの青空が照らしてる。
根の張った部屋を開く。
大樹を削って作った、ツリーハウスみたいな部屋だ。
真ん中にはテーブルがあって、丁寧にクロスまで引いてある。
椅子は六脚か、テーブルの長辺に向かい合うように並べてる。短辺には何もない。テーブルの上にも何も置いていない。
壁には額縁がいくつか飾られている。
何かが入っていたのか、埃が物体に沿って溜まった跡がある。
部屋を進んでいくと、リノリウムの廊下に出た。
真正面に、また額縁だ。さっきと同じような、でも少し洒落た西洋の額縁が一つ。やはり中には何も入っていない。
廊下の左右は、草原に繋がっている。どちらに行っても同じ場所につく。
根の部屋があるほうの壁はどこまでも長く続いている。反対側は中途半端に途切れていて、草原の様子が窺えた。
なだらかな丘と、遠くに見える世界樹。200か、300か、あるいはもっと高く。横に手広く枝を伸ばし、空を覆っている。
草原に踏み出し、出てきた廊下を振り返る。始めの回廊とサイズが合わないほど、低く左右に長い平屋だった。

それだけだ。これ以上は、何も見つからない。
私にしか見えない、私にしか使えない、私しか救えない部屋。
何物にもつながらぬ幻想そのものが、そこにはある。
これが社会にとって価値があるとするなら、それは私を通すことでしか価値を持てない。