裁判
法廷の内部 | 裁判所
調書判決とは?刑事裁判の判決書はマストではない | 逮捕・示談に強い東京の刑事事件弁護士
刑事訴訟の流れ | MtBook US リーガルサービス

「あります。気がかりなことがいくつか」
「ほう。それでは、出してみて下さい」

つきつける 小瓶
「毒ガスが封入されていた瓶……ですね。それが何か?」
「一応聞きます。証人、この瓶に見覚えは?」
「無いわ。だって花じゃないもの」
「証人、あなたに毒の影響は?」
「無いわ。毒のある花も私は愛しているもの」
「証人。では、換気はしなかったのですね?」
「当然じゃない。

 だって、もう開いてたんだから。換気の必要なんてないでしょ?」

その言葉、忘れないで下さいよ。証人! 続きを!」
「えーと……いいでしょう。グランギニョルは終わらせない」
「いや、芝居じゃねえぞ。普通に喋れ」
「……コンパロトキシン!」
「……」
「……何! 何で急に撫でるのよ!」

まだ、重要な問題が未解決ではないですか」
「重要な、問題……?」

「証人は、その後幻視で魂が無いのを確認しています。それは証人自身が認めていたではありませんか」
「た、確かに……! 魂が無ければ、生きてるはずもない! その時死んでいた、何よりもの証拠だわ!」
「あっ、私の仕事……」

 驚くメディスン。少しむくれた裁判長。
 それをよそ目に、なおも庭渡検事は喋り続ける。

「弁護人はどうお考えですか? 蹴ったときは生きていた。しかし幻視では死んでいた。この二つのジジツ。一体どちらが正しいのか」
「私は……」

「両方正しい。そう考えるわ」
「……面白い。では、証明してもらいましょうか。

証人が正しければ、遺体は細工されていた事になる。
 すなわち、先程の『机から床に落ちたのは犯人がいたから』という私の説は、真実味を増すのです!」
「……!」
「……やられたな。

 証人を疑えば、私等の情報源が絶たれる。かといって証人を信じりゃ、犯人がいる事になる。そしたら死んでねえって立証は難しくなるだろうな。

 何せ殺しだ。しかも細工を入れるほど念入りにやってる。それでとどめを刺さない理由はねえ。

 どっちのデメリットを取るか、こっちに選ばせようってわけだ。上手い話だよ」
「そんな! 詰みじゃないの!」
「さあ弁護人! 答えていただきますよ。それでも貴方は、『被害者には身体強化が掛かっていた』と主張するのか!」
「……愚問ね」

「勿論、その通りよ。身体強化がかかっていた。少なくとも、証人が蹴った時点では『被害者が生きていた』と主張する!」
「……かかりましたね」
「な、何よ」
「お忘れですか? 証人は、その後幻視で魂が無いのを確認しています。それは証人自身が認めていたではありませんか」
「ちっ……!」
「た、確かに……! 魂が無ければ、生きてるはずもない! その時死んでいた、何よりもの証拠だわ!」
「あっ、私の仕事……」

 驚くメディスン。少しむくれた裁判長。
 それをよそ目に、なおも庭渡検事は喋り続ける。
「よく言うわ。今の四季裁判長の言葉……完全に、鏡じゃ足りない事実があるっていう敗北宣言じゃないの」
「ん? そうだね。あの天邪鬼が言ってた、生きてるうちをさらうのが浄玻璃の鏡って話。それが確定しただけだよ。
 忘れちゃいけない。地獄側からすれば、この裁判はいつ打ち切っても問題ないんだ。それだけ信用されてるんだよ、あの鏡はね」

「でも嘘はついてないわよ。私、今まで一度も嘘をついたことがないもの」
「……」

 フランドールが訝る目をアリスに向けている。確かに嘘くさいが、驚くことに私には全く嘘に聞こえなかった。正体不明という嘘を扱う以上、逆に見抜くことにかけてはかなり自信があったのだけど。少しだけ、寺の修行を再開してもいいかもしれないと、そう思った。

塩化水素 - Wikipedia
砂糖と二酸化炭素がプラスチックに――英大学、生分解性のあるポリカーボネートの製造方法を発見 - fabcross for エンジニア
大久野島の毒ガス製造 - Wikipedia
ホスゲン - Wikipedia