博麗神社の裏手には山がある。
中に洞窟と湖が入るくらいには大きく、だが妖怪の山と比べると霞んでしまう程度の小ささの山。
それでも幻想郷にある以上、ちゃんとした噂や曰くがある。だがそれは『近づいた者は行方不明になる』『変な魔力に満ちている』『たまに山の一部が消える』とかいうここじゃ珍しくもないものだ。
しかもその噂は博麗の巫女が既に解決済みである。原因は湖にあったらしいが、まあ過ぎたことはどうでもいい。
大事なのは、その噂と立地。
今となっても誰も寄り付かない事だ。
「さってと……」
私は空を見上げ、時間を計った。
もちろん星や月から時を読むようなスキルがあるわけではないが、日の出までの時間ぐらいはわかる。もう十、二十分経てば天道様のお通りだ。
普通の神社なら既に巫女は起きてたりするものだが、あいにく博麗神社はそんなことはない。あったとしても、寝ぼけている。それが博麗の巫女だ。(異変の時はその限りではない)
そのおかげで、私でもこうやって裏手の山に来れるのだが。
「きょ、う、は……よし、こいつでいいか。」
適当に山の木を選ぶ。
もちろん、こんな所にただ遊びに来たわけではない。ここで騒げば即刻退治される。そんな危険を冒してまで