番外編、フォーオブアカインド
父、母、フラン、冴月
表に出てたのはほとんどフランで、冴月が狂気
父がカリスマ、母が慈愛
開口一番冴月をチェーンで縛る父、がぶち壊される
母は父を、フランは冴月は細かいものを数えさせたり細かいルールを教えたりして落ち着かせる
自分だし自分の扱いは一番知ってる
フランは父と母から過去を知る
複雑な状況は、いつもレミリアを頼っていた
フランはレミリアに全部打ち明けることを提案するが、父が拒否
まだ死んでから100年程度、レミリアの心の支えとなっているのはフランへの庇護欲
それが本当に頼れる人間であるというのは、精神の崩壊を招きかねない
二度と立ち上がれなくなるかもしれない、立ってる間に立ち上がる力を身につけるべき
なにより母と殺人犯と娘と100年ちょっと体を共有していた父とかちょっと
冴月はあれでもマシになった方、見てわかる狂気だし父母との戦闘で結構満足してる
レミリア来訪、まあさっき冴月が壁ぶんなぐったし様子見に来た
やったばっかでまだ戻せない、隠れさせる
というかこのフォーオブアカインド自体も禁術だし、後ろめたい
べ、別になんでもないよ! あれよ、ちょっと転んじゃって!
そんなにモノだらけなの? それならメイドたちを呼んで掃除を……
乙女の部屋には無遠慮に入っちゃ駄目だよお姉様。わかる?
それよりお姉様、ずいぶん汚れちゃって料理でもしたの?
ふふふ、これでも100年お姉様の妹をやってるんだから分かるわ……
さっきの話を考えるに、この発言はまずくないか?
前々からよく巫山戯て使ってた表現だけど、あいつらの言う過去がマジならこれすっごい地雷じゃ……?
あ、大丈夫そう……
(聞こえるか、フラン)
(!?)
(大丈夫だ。運命通信は他には漏れない)
(運命通信!?)
(それよりフラン! レミリアは結構傷ついているぞ!)
(どこがよ!)
(私にはわかる。あれは傷ついてるけどがんばって押し留めているときの顔だ!)
(私にも見えるわ。レミリア、苦労したのね……)
(……え、マジなの? 全然そんなふうに見えないのに……)
(ごめんなさい、フラン。私が本当はやるべきなんだけど。お姉ちゃんのこと、フォローしてくれるかしら)
「……あの、フランドール? そんなにまじまじ見つめて、どうしたの?」
(……やったことない!)
……お姉様の料理楽しみだな! 一緒に食べるの、待ち遠しいわ!
一緒に……? フランドール、魔法の勉強はいいの?
話運びミスった! くっそ、魔法にのめり込みすぎたツケか!
今のはレミリアが気にしすぎなのも悪いわよ
数え終わり、冴月突撃
レ ミ リ アァァァア!!!
突撃、フォーク、突撃、バッドレディコンボ決めてチェーンギャングで縫い止める
あーあ……。
時々私、ああなってたし
でも純粋狂気を止められるレベルはすごい
止められるのは必然、つーか他に止められる常駐いねーし……パッさんはあと300年後くらいに来る。
……説明してもらおうかしら、フランドール。
できない
フォーオブのことだけ話す
解除のためにノーレッジ卿呼ぶ
あまり借りを作りたくないけれど
フランドール君か。
これは分身の魔法だね?
まさか禁術を見つけ出すとは。君の成長は末恐ろしくも楽しみだ。
かなり熟練していても、並の精神なら二人が限界だ。
三人目が形を持って現れているのは、君の類稀な才能と言っていいだろう。
けれど、三人目は間違いなく気が触れている。
君がこの魔法を極めるのは危険だろう。やるなら僕にスケジュールを詰める時間をくれ。
……そういえば、分身を消したら、その人格はどうなるの?
消滅するよ。
えっ。
君の心配は最もだ。
気が触れたままの彼女を戻すのは気が引けると言うんだろう。
けれど安心し給え。人格は消滅し、本体には記憶だけが残る。
この魔法の開発主は、気軽に使い潰せる自分の奴隷を欲しがった欲張りだったからね。
……あの、ノーレッジ卿。
なんだい。
分身を片方だけ戻すなんてことは……
ふむ。
触媒はいくつ使ったのかい?
え? 当然一つよ。
となると無理だな。
そもそも、必要なのかい?
そこの二人は理知的のようだが、三人目が狂った以上、危険性を否定する事はできない。
何より、解除の魔法は軽々と使えるものじゃないんだ。
戻すなら一気に戻したほうが良い。僕も、いつまでも予定が空いてるわけではないからね。
――私達、殺される!?
ノーレッジ卿の言うとおりだわ。
それともフラン、何か理由があるの?
あるけどいえねえ!
(フラン。実は私達はお前が作り出した幻影だ)
(今更遅いわよ! その設定ならもっときちんと伏線はって!)
(……私達を、信じてくれるのか)
(別に! 長女は頼りなさげで、次女は周りに迷惑かけて!
そんな家族の、親の顔を見てみたいって思っただけよ!)
(でもやりづらすぎるんだけど! ここで私が勝ったら、私への庇護欲も無くなるわよね!)
(もちろんバラしてもなくなる、でも何もしなきゃ魔法が解かれて二人が消える! ……詰んでる!)
要は立ち上がれる強さがついてるかどうかわかれば、レミリアが父を認めさせればいい
でも分身フランをボコす程度じゃ認めてくれない、
……お姉様。実はね、あの壁の穴を開けたのは、お姉さまが拘束した私じゃないわ。
私がやったのよ!
!?
!?
(合わせて!)
事件のあらましはこうよ。まずは私が分身の魔法を使った。四人になった私は、他の私と話し合いを行ったわ。精神も分身してこその分身の魔法。そうよね、ノーレッジ卿。
そうだな。
ところが私の分身の魔法はうまく行っていなかった。この子はまだ普通だったけど、あれはお姉様の強さを疑っていた。三人目はあの通りよ。
(実の娘からあれ呼ばわりされてる……)
だから私は……こう、疑ってる奴がムカついたから、ぐっとやったのよ! わかる!?
あ、ああ。
……三人目は何もしなかったのか?
あいつは…………ええっと、その。お姉様しか見てないからね。うん。
と、とにかく! このまま分身を解除すれば、責任の所在がわからなくなるわ! 壁をぶっ壊したのは私! お姉様の強さを疑ったのはこいつ! お姉様に襲いかかったのはあいつ! 分身を解除して、私一人に全部の罪の精算をさせるのはおかしいわ。あいつだけが拘束されているように、一人一人に然るべき対応をしてこそ、紅魔の王ってものじゃないかしら! ねえお姉様! そうでしょ!?
……
その子の言っていることは本当よ、レミリア。
けれど全てじゃない。
(いや、娘の体を傷つけるわけには……)
(つべこべ言ってんじゃないわよ! 要は、お父様がお姉様の力を認めればいいんでしょ! 本気でぶつかって、本気で納得しなさい! あんたの娘はそんなに弱かないって!)
(だが……)
(というか、この話の流れだと、お父様が負けたあと、結局分身は解除されちゃうんじゃ?)
(……それはその時よ!)
(妻よ。私が負ける前提で話を進めるのはどうだろう?)
(ですが、100年のブランクに使い慣れない体です。私はとても心配ですよ)
(……ふっ。)
レミリアよ、この館には戦いのフィールドがあるだろう。
私は準備万端だ。
スピグン
それじゃあこの魔法は君から魔力を吸わせるよ
え、あの、すっごい吸われるんだけど……
僕の魔法のほうが想定外に対応できる。なにより、僕はまだ解除魔法を当てるという計画を捨てたわけじゃないからね。
さっきの演説、良かったよ。
あそこから彼女と、あれを戦わせる方向に持っていけるとは。
……一人一人に然るべき対応、か。僕もそう思うよ。
例えば僕が分身の魔法を使ったとしても、僕の責任はそいつに移らない。
分身は所詮、記憶と反応を持った別人だ。別個として捉えるべきだと、僕は思う。
……ノーレッジ卿。
話し過ぎたね。
ルゥル、ルゥル、共通の……
破壊に少しずつ近づいていく
正直、私も少し疑っていた。
たくさん魔法を勉強して、一歩ずつ力を覚えて。
そんな私なら、本気を出せば。
狂気に満ちた方法じゃなく、理知的にすべてを組み合わせれば。
たとえ相手があいつでも、ワンチャンあるんじゃないかって。
甘かった。
お姉様は、私よりもずっとずっと……
ふむ。
ノーレッジ卿。あいつ、ズルしてるわね
人聞きが悪いね。対策だよ。
僕は所詮他人だ。付きっきりで面倒なんて見る気もない。
いざというとき、止められるのは彼女だけだ。
それなら、僕が持ちうるすべての対策を叩き込むのは当然だろう。
まあ、たった三週間の講義だ。
ズルといえばズルだけどね。
そんなわけ無いわ。
私が考える事、取り得る手段、全てがその上から潰されていく……
倒れるフラ父
介抱するノーレッジ卿
おっと、ストップだ。
確かにここでとどめを刺せば、解除を当てるのと同じく分身を消滅させられる。
けれどレミリア君。分身であれ、肉親を殺したくはないだろう
……
おい、フランB
フランB!?
それが私の名だな
やめろクソお父様ァ!
お前の強さはわかった。それだけ強ければ、私を疑うのも頷ける。
(……認めた?)
(……ああ。)
強くなったな、レミリア
……ふ。
ふふふふふふ!
ノーレッジ卿。あなたの主張はこうね?
私の分身の魔法を解くと依頼を受けた。けれど解除魔法は一発限り。
機を逃して、あの狂った私が外に出てしまえば、大変な事になる。
(……話が正しければ、あいつはお父様にお母様……たくさんの館の妖怪を殺し、お姉様をも殺しかけた相手)
ああ。だから、この一発で全ての魔法を解く。
でもノーレッジ卿。使わずに済むなら、それがいいわよね。
……まあ、そうだね。
君にこれを当ててしまえば、君の狂気を抑え込んでいる羽の魔法も消え去る。
そしたら君をもう一度止めないといけない。
でも、それはいつもやっている事だよ。気にすることじゃない。
……面倒よね!
なら、あいつを私が倒せるなら?
自分で自分を制御できるなら、その解除魔法はいらないわ。
いや、それができないからいつも私が倒してるんだけれど
…………ふっ。
今ここで! 私は私を超える!
お姉様が拘束している今ならたやすいわ!
ルール、みぃつけた。
チェーン破壊
あっ。タ、タイム!
フォーオブ時点だと、クランベリーとレーヴァしかない
あとは自分から打ち出す全方位弾、というか本来フォーオブ時は全方位弾しか使えない
でも全方位弾とか一瞬でパターンわかる
スターボウすらないので、剛欲異聞の弓スキルも無理
もうこれレーヴァぶん回すしかないぞ、本来テクニック寄りの戦闘スタイルなのに。
タイムは通る
でも気が触れているのはいただけないね。
もし君がこの魔法を極めるなら言ってくれ。僕にもスケジュールを詰める時間が必要だからね。
だから疑うのだよ。
君の親を名乗るその二人が、
君の妄想じゃないと何故言い切れる。
本当にスカーレット卿だと言うなら、
何か僕の秘密を一つ言って見給え。
ストライクゾーンは未成熟な
わかった信じよう。
…………。
気持ちはわかるが、引かないでくれ。
僕は図書館の管理を行っていてね。集める本に貴賤はない。いわゆる大衆向けの本も多く所蔵することになるわけだ。そして僕はその全てに一度は目を通しているわけだよ。すると人の欲望の最前線に触れることになる。
……つまり自分の性癖に気付いたわけね
そうだ
じゃあ、今まで私に処置って言ってかけた魔法……
そんなことはしない。
ノーレッジさんは妻帯者よ。そういうことはしないわ
……
ちゃんと成年だよ。僕は子供のためを思える魔法使いだから。
それに仮に手を出したら、僕は無二の親友に対して手を出した事にもなる。そんなのはゴメンだよ。
…………ごめんなさい。話を進めましょうか
まあそれでも、僕は認めないけれど。
あの日君は死んだ。ここにいる君は記憶と反応を持った別人だ。
……
……いや、