「いっつう……」
 「まったく、素直に言ってくれたら別に怒りなどしませんのに。」
 シュゥゥという擬音が出そうなくらいに頭が熱い。触ってみると少し膨れていた。
 「特にぬえさん、一人のせいにしてはいけませんよ、全く」
 「……はーい」
 口ではそう言っているが少し涙目だ。あれは本当に千年生きているんだろうか。
 「まあ、素直に言っても一発入れましたけど。」
 「じゃあ変わらないじゃないか……まてまて、下ろせ、その鉄板」
 みとりがさっきの鉄板をもう一度振り上げる。よほど強くやったのだろう、頭の形にへこんでいる。構えを解き、みとりは大きくため息をついた。
 「まったく、フランさんとこいしさんを見習ってくださいよ。もう手掛りを探し始めてますよ?」
 「あれは探してるのか?破壊してるように見えるが」
 家跡地では五人が必死に瓦礫をひっくり返していた。ひっくり返しているのはこいしだけだが。残りの四人はさらに破壊して探しているように見える。全員頭が膨れていた。
 「いいからお願いします。依頼料はこのとおり、饅頭を渡しますので」
 「割に合わないわ……」
 「何か言いました?」
 「なにやってんだ封獣、早く行くぞ」
 「変わり身早っ!」
 弱者の掟その一。上のやつにはひとまず逆らわない。今に見てろと心の中で唱えて、私は瓦礫破壊に向かった。