「いらっしゃいませ」

 物質を抜けると、そこはバーでした。

「何になさいますか」

 さしもの私も一瞬たじろいだ。つい後ろを振り向いた。そこにあるのは入った時と変わらず、水に垂らしたインクみたいな柄のである。名前が乱立していることに対する一通りの罵倒を並べていると、少しずつ冷静になっていく。いや冷静になるとこいつ結構重いな、ちょっと熱残すか。

「……助けとか。これでいける?」

「バリケード!」

「……理由をお聞かせ願います」

「怪物に追われている! 閉じろ!」

「ふむ。人外ですか? 名前を教えていませんか?」

「あれは人じゃない! 名前も言う暇なかった!」

「では問題ありません。落ち着いて、ご注文をお願いします」

「何になさいますか?」

「こっちが渋めの紅茶。私がブラックコーヒー」

「ど……どうぞ」

「……どうも」

「ヒッ」

「気にしないでいいわ。」

「すみません。怒ってるわけじゃないんですよ、彼。ちょっとその、いきなりスケジュールが詰まったというか」

「え……えっと、よく知りませんが、それは怒っても良いところではないでしょうか……」

「そうですけどね。怒っても、悲しんでも、仕事は減りませんから。だから、真面目にやってるそうです」

「」

「いらっしゃいませ」

「……せ、成功……した……?」

「何になさいますか?」

「……あ、はい。水、ください……」

前回が知らないやつとの三年後
今回は知ってる奴とやりたいが、六はここだし七はいない。
四か三。四式の前任かな。ただ性格が想像つかない。