そして火が消し止まる。
「……こんなもんね」
椀につゆ、次いでお湯。うどんを流し込み、わかめを散らして梅を飾る。
瞬く間に、テーブルの上は人数分の朝食に埋もれた。
「うぇぇ゛頭痛い……あ、おはよー」
「おはよう。朝はいる?」
立ち上る湯気と出汁と梅の香り。彼にとってそれは、二日酔いであることを忘れさせるほどに鮮烈だった。腹が嘶く。
「……あー。悪いね、君の歓迎会だったのにさ」
彼が入ってきた扉の上に幕が張られている。『織方真禾 歓迎会』と描かれたその文字は、太いマーカーで隅々まで丁寧に塗りつぶされていた。
「昨日の話よ。今日は平日」
「さっぱりしてるねマノちゃん……じゃあ、皆を起こしてくる」
少しして、ダイニングにぞろぞろと人が入ってくる。身長も体格も性別もばらばらなものの、皆一様に服の何処かに同じ植物の紋が付いている。
「1,2,3……あれ、一つ足りないな」
「私はもう食べたもの」
「そりゃ残念。皆で話しながら食べるのが旨いんだ」
「
「それじゃ、私は先に出るわ」
「せっかくだ、一緒に行かないか」
「断るわ。何の為に朝食を用意したと思う?」
「親切」
「解説」
「一人前が作れないタイプ」
「私は一人っ子よ。じゃ、行ってきます」