「ふ……ふふふふふふ、帰ってきた、私は帰ってきたぞ!全ては皆を救うためにっ!」
 ぶっ壊されて名前しか残ってない系少女。
 全盛期は「名を操る程度の能力」。慧音の能力が歴史消去と創作なら、これは改変。その形態にかかわらず、使われた名詞の全てを改変できる。そしてそれに違和感や疑問は抱かない。なぜなら違和感も疑問も名詞だから。昔はこれで名声も操ってた。
 今は弱体化し「名前だけで生きる程度の能力」。冴月麟という名前をつけたものに意識が宿るようになっている。最初期は紅霧異変の歴史書にいる。こいし曰く「無意識に肩まで浸かってる」。もちろんそれは好ましくないので、体を探すようにみとりに言い続けているのだが。
 本来この力は、誤りを正し事実を伝えるための力。誤りすらも飲み込み意味にしてしまう人類とは決定的に合わない。
 重いバックストーリーの割に純粋。いじりやすい。フランドールとさとりを見ると軽くPTSD。
 生前は麒麟の半人半妖だった。趣味は上海二胡。やたらと医療系に通じている。獣医もできる。

 最終編ではみとりにありとあらゆる人の名前を自分の名前に書き換えさせ、全員を洗脳したように見せる。ちなみに書き換えたら今のところ元には戻らない。
 そこまでしてやりたかったのは、自分が昔変えてしまったスペルカードルールの元になった動作を取り戻すこと。彼女いわく、暴力より話し合いより平和でみんなが納得する動作らしい。なのに外の世界の者は忘れてしまったものだと。相互にそれをやるつもりが無いと成り立たないだとか。けじめを付けたかったのだ。ああ違った、暃にたかったのだ。

 本当は言葉じゃなく意味かイデアを変えているのかもしれない。
 マジでイデアを変えていると、精神というか認識に生きてる妖怪そのものに対する反逆。言葉に込められた歴史を踏みにじる行為なので人間に対しても反逆。いうなれば言葉をコミュニケーションツールとして選んだ全人妖に反逆。紛れもない最凶最悪。

 
 身体探しかもしれない。

 「こんなものでいいかしらね。え、最後がふわふわしすぎ?わかってないわねみとり。こういうのは想像の余地をもたせると、恐ろしさが増すのさ。覚えておくといいわ。……みとり?あれ?」

 「あなた誰?というか、ここどこ?」

 彼女を知ってはならない。
 解き明かしてはならない。
 なぜなら、彼女は――

 西狩獲麟の逸話を元にした、彼女を捕らえると世界が終わるシステム。この逸話だけだったら問題ないのに、蓬莱人形が凶悪化させた。わざと。