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籠に小鳥が浮いている

もう一度立ち上がる勇気なんてないから、僕はまだ立っている。

ぽつりぽつりと思います
いつの間にかの出来事です
死にたいとは容易く言えますが
生きたいと無邪気に言えなくなりました

温もり、希望、思い出だとか
とっくの昔に腐り果てています
その成れ果てを見ると心が休まりました
私の理想によく似ているのです

空から伸びた蜘蛛の糸を見て
これ幸いと首に巻いた

誰か僕を引っ張り上げて
一人じゃ死ねないんだ

最後に手を握ったのいつだっけ
冬の風を寂しく感じたのいつだっけ
僕らまた終わりと始めを忘れて
あいだあいだを生きていく

あんなに大きく見えたキャンバスが
今じゃ四畳半より縮こまって見えて
僕ら初めも終わりも忘れて
あいだあいだをグダグダ重ねて

くらりくらりと思います
弱いから言葉を吐くのでしょうか
ありがちな最期に縋るのでしょうか
私自身も見飽きているのに

誰より先に夢は死にます
知ってしまった時が寿命なのです
ああはなりたくないと感じながらも
羨ましいなと呟きました

伝えたいことがあったんだ
でも誰に伝えたいか忘れちまった

死にたいほど辛かったんだ
でもなんで辛かったか忘れちまった

生きてるのがつまんねえって
そう嘯いて生きるのが一番つまんねえって
言われたって変わりゃしねえんだよ
そう言ってるお前が変わってみやがれ

いつも空に憧れてるんだ
空に僕は焦がされてんだ
炭も灰も影も全部
照らして消してほしいって願ってんだよ

背負った荷物が重いから
仕方なく前のめりに歩いてた

たくさん落とした幸せを
踏みにじってようやく進めました

抱えた荷物が重いから
仕方なく背筋を伸ばして歩いてた

見上げた青空が綺麗だったのは
今が不幸のどんづまりだからなんだろう

何もかもを吐き出してしまいたかった
そうして価値を無くした僕を
ゴミクズみたいに捨ててしまいたかった
それならみんな認めてくれるから
誰もが幸せになれるはずだから

誰もが、誰もが、誰かは、誰だ?

私だけ。

あぁ、終わらないな終わらないな
何もかもが手詰まっちまえば
終わりに出るのは嘘ばっか
終わりも見えない嘘ばっか

褒めて伸ばした心の棘が
私をチクチク突ついてやがる
このまま生きてもいいことないぞと
そっと私を食い破る

在処を自分で作ってみたけど

上っ面で塗り固めた僕が
私の内にあったはずの僕が
いつか消しさるべき幼さだからと
水底に沈めた泥の中の枯れ木みたいな僕が

いつまでも終わらない夢で僕を支えた

ほら、怖いだろ、僕が怖いだろう
僕を殺せば楽になれるぞ
それは僕にも言えることだから
誰よりよく知っているんだ

耳障りのいい言葉ばっか並べて
つらつら流れる歌を作った
てめえの言葉は長すぎんだよ
とっかかって聞こえやしないぞ

何でもないさと笑った私は
何もかもを憎んだ僕を嘲笑う

褒めて伸びるのは心の棘です
少しずつ奥へと向かっていくのです

意味のない言葉がゴロゴロ並んで
あっちに行けよと蹴っ飛ばしたんだ
戻って来たなら躊躇い抜いて
きっちり刺してはぶっ殺せ

僕は、私は、それは、内に、なにも、なにか、何かが、あったんだ

知らないものを知りたくて
知ってるものを知らなくしたくて
理想を砕いて食べながら
そのために僕は立ってる

今はまだ立ってる

立ち上がる勇気なんてない。
――だからまだ、立ってる。

形式ばっかにこだわってさ、

一秒前の死体