「……これも、違うか。うーむ、どうしたものか……」
才覚浪費の雇われ男。やりたいことがわからないと言いつつもいろいろな仕事をしている。マグロ漁船から医者まで何でもやります。ライセンスもとってます。ここに来た時点でライセンスなんて当たり前?ああ、うん、そうだね。
その全てで平均程度は出すものの、今ひとつその先に伸びない。そしてすぐ辞める。会社からしたらなかなか面倒くさい人材。なのに面接通る。印象が平均程度なら雇うよね。というかここ、会社あったんだ。
ちなみに堪え性が無いわけではなく、中間管理職を三年続けたこともある。その時の成績は良くも悪くもだが、仲間や上司の愚痴をよく聞いてくれる必要な存在だったとか。でも辞めた。どうやって殺し屋から足抜けしたんだよ、とはたまに聞かれる。
そして運送業者としてトラックを運転していたところに、後の八階堂と出会う。よしドラマティック。彼女を轢いてまるごと異世界へ。というか低層へ。本名呼ばれると帰れなくなるらしいので、名前もその時押し付け……もらった。実際はそんなことはなく、高層の人たちの戯れ。ドラマティック?
どうでもいいが、この世界だと運送業者は高給取り。荷物がやってくるのを待つわくわく感、手渡しで受け取る人の暖かみを感じたいという趣味嗜好の人に向けた仕事になっている。九路々帰が受け持っているのは信じて死ぬほうが価値があると信じている人間。信じる前に限りなく理解を重ねるが、一度信じたら最後まで信じ抜く人間。
一応平均が0だったとしても1は出せる。つまり不可能だと考えられてることでも解決のきっかけぐらいは作れる。別名Nullivle Standard。でもその瞬間わっと人が来る。平均をとることもできるし、平均になることもできる。だから絶対に一位になれない男。低層で最もやべーやつ。
ちなみに標本の決定方法は
でも人間判定はガバガバ。
メモリー消去により標本を減らすこともできる。こいつほんとに人間か? 標本が一人の場合、極限まで標本に近づきはするが絶対に超えることはない。だって相手成長するし。相手より弱くなる程度の能力。これを応用すると……ほんとにメタモンじゃねえか。
標本は初めは一度に一つしか使えないが、どんどん増えていく。ダブスタ、トリスタ、クアスタ……
人並みしか出せないからこそ、人としての自然を絶対に踏み越えられない男。デヴァスティアに向いてる。ナリスタ覚えるまでは。
今のところ八階堂の執事をやっている。秘書もやってる。燕尾服もモノクルもないけど。
ちなみに、本当に付き人なら九じゃなく二文字目に八がついた名字を名乗るべきではある。幡八笹谷とか。まあ、そもそも八の土地自体不在の七と有罪の一から奪った新興勢力だし。
「……九路々帰。人と機械の差は何だ」
「答え合わせですか?」
「無限ループを自分で抜けられるか、存在のために存在できるか……」
「ですがやはり一番は、意志があるかないか、だと思います。無数の猿が書き上げたハムレットは、ハムレットではないのです」
自己評価強化学習AI
私は同情だと思うがな。