「何で怨んでたかなんて私は忘れた。けれど、怨む心がここにあるなら、それが過去の私が選んだ事なら、私は過去の私を信じる」
後に夢月はこう語る。
きっと、地獄という言葉は、
ああいう光景を語る為にあるのだろうと。
「分からないから怖いなら、怖いってことも分からなくなればいいじゃない。それってとっても幸せなことだと思わない?」
「本当ならただの悪魔なんて……いや、どうやら私の商売相手らしいわね。なら少しばかり本気を出しましょう。」
「『お前たちは私を侮った』ただそれだけで、私はお前たちを地獄に落とす。ただそれだけの理由だ!死んで死に切れ!」
「そう、あの子を想うとこの辺がきゅっと痛く……」
「……そこ、胃だぞ」
「お前が!地獄を使わないから!こっちの仕事がどれだけ増えたと思ってるのよ!」
「いや、だって使用料高いし」
「地獄だってただじゃないのよ!おかげで書類ミスで変に転生する奴も増えたし!この戦い、私が勝ったら地獄を契約してもらうわよん!」
「ええ……」
「ていっ」
「のぎゃあぁあ!威力おかしいでしょおーっ!なんで地盤ごとめくれんのよーっ!」
「あっははは!地獄の神はそう甘くないわよ、『たかが』悪魔ちゃん!」
「なっ!なんですって!?随分舐めきってくれるじゃないの!地獄に送り返してやる!」
「ふふん!やってみな!威勢だけになるなよ!」
「ついでにその口も封じてやるよ!変なスカートヤロー!」
「さて、私はあなたと話したかったのよ」
「何も話すことなんてないわ。夢子ちゃん」
「『短』」
「おっと。手厚い歓迎ね」