「ご明察! 別名時間稼ぎ部隊さ。ウチが時間を作って、そのスキに魔法部隊が存分打ち込む! とってもシンプルな作戦だろ?」

 数百人は皆一様に真剣な表情をして、思い思いに整備をしていた。装備に付与された魔法をかけ直す者。ストレッチを行う者。プロテインを摂取する者。

「今飲んでも意味無くない?」
「ご心配なく。ルーティーンなのです」

 見知らぬ男はシェイカーを片手に空を見上げた。澄んだ春の空気の中、月ほどもある岩の塊が青を切り取っていた。

「で? この後はどうすんだよ。どうせ何かさせんだろ」
「ははは。もちろん用意しているよ。誰かに命運を託すなんて貴女は納得しないものね」

 鞄からエリテアが紙を取り出す。どうやら配置計画書のようだ。地図にグループとその番号が書き込まれている。

「魔法部隊07中隊付けで、担当区域はこの辺り。まあこの方向から隕石に力を加えてほしいってだけで、出来るならこの広場からでも構わないよ」
「……そりゃ有り難い話だ。誰かさんのせいで疲れたんでな。ここからにするよ」
「誰かしら」
「お前だよ!」

「変な話ね。私は道案内と露払い、貴女は輸送。疲れるほど仕事を押し付けてないのだけれど」
「中身を見ろよ!