「煙草畑がある」
「なるほど。」

 何で!! どんな奇跡ですか! どんな瞬間を狙ったら下から来る天狗と鉢合わせられるんですか! 幾ら! 幾ら何でも運が! 運が……
 そういや厄神乗せてましたね、この船。

「……飯綱丸様……駄目か……」

 しかも衝突した二人はどちらも見覚えがありません。折角

つまり何が起きるか何もわからないということです。

 ……ああ、だから人に被害が及ばなかったんですね……人じゃなくて、船に厄を押し付けてたんですもん……厄には特異な性質がございまして、大きくなればなるほど大きい物に依り憑きます。いや、設定的には確かに一人ずつに厄が振られてるんですが、システム的には大きい物に厄の結果を起こさせ、全員巻き込むというふうになってるんですね。値の制御を一つにまとめて簡素化するアイデアです。

山から赤河童を追放したのは表向き地底にいるやつを山妖怪としたくない、裏向き今はそっとしといてやろう。
龍は表向きまで知っている。
典は裏向きまで知っており面白いので利用した。

なお、追放された妖怪が再び戻ってくることはまず無い模様。気まずいわ。

面白くないから、で大天狗からの願いは蹴っていい。
それは大天狗も、上層部も知ってるので彼女らにとって面白い案件しか持ち込まない。

人間も河童も首領なんていません。
河童側は山に住むことを鑑みれば天魔という絶対的首領がいますが、事情を察した大天狗が情報を握りつぶしています。
野放しにすることを恐れたとも言う。
つまり彼女は山にまだ籍があります。

事情は分からなくても、事態が分かればどうにかなります。
そんなゲーム。

この(空を飛ぶ)間、僅か一分弱
どうして辞めなかったんですか?
にとりが溺れてたシーンでは、このお姉ちゃんは船の中にいたので。

一回休みが当たり前の妖精たちにとって、一年生き延びて誕生日を迎えられるのは割と奇跡だったりします。

他にも色々あったんですが、熱保持禁止だと池が全部凍って生物が死にます。
移動禁止だとお姉ちゃん的に妹の頑張りを否定することになります。

「『識別禁止』解除」

「ここから先は一方通行……」

「進入……『禁止』ぃッ!!!」

ワンマンみとり。

「皆あつまって、面白そーなことしてるわね!」
「『認識禁止』……解除!」

 お、お前は……チルノ!?

「諸共とっちめてあげるわ! くらえ、この前本で読んだ必殺技っ!」
「『限界禁止』!!」

「マジ……フリーーーズッッッ!!!」

ワンマンチルノ。

数多あるイベントの中には、互いに情報が矛盾するものもあります。
どちらが起きるかは勿論予測できるんですが、それでも時折外したり、酷い時は矛盾にかかわらず両方起きたりして走者のタイムを破壊します。

一般人枠、典

ああ……空が……いや。

地球は、青いなあ……

「な、何だあれは……」
「船が……飛んできた!?」
「侵入者……か?」

「あら? 地上からの貢物かしら」

 あっ、天子さんだ。やっほー。

 ……ふう。現実逃避はこの辺に致しまして。

 そろそろ最高到達点です。そこまで来たら、せーので降りますよ。

「え……ちょ、ちょっと待って! この船はどうするのよ!?」

 船に関してはほっときます。落下するに任せましょう。少なくとも、疲労困憊の我々ができることはもうありません。

 

実を言うと、一輪さんが復活した時点で船に留まる理由は船が変なところに入って山を傷つけると困るという責任感以外にありません。
船が落ちていくなら、被害範囲は予測できます。その責任ももう負う必要がないのです。

あまりにヤバイ氷に氷魔法熟練度バフがゴリゴリ乗ります。
いつもは船を釘付けるための氷くらいなのですが。

しかしこの作戦、欠陥があります。

「も……もうだめ……」
「干からびちゃう……」

水を操る人員は複数名います。

が、氷を操る人員はチルノたった一人です。
これは

「まだっ!!」

「アタイは……ここで! お菓子をもらって! 大ちゃんの誕生日を、みんなで祝うんだ!!」

「マジ……マイナス、Kっ!!」

だとしても限界! むしろ最悪の季節たる八月でよく戦いました!
残るは何とか、我々でやる……! 

雲山さんは……凝固してる!
大蝦蟇様は……ああっ、丸々凍りついてる!

っつーか、我々の足も凍りついてるから何も出来んわ!
唯一なんか出来そうなのは……水蜜さん!

「はぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」

いやもうやってるわ! アンカーで氷を削りながら、スピードを落とさせてる!
それならやるしかない……いついかなる瞬間でも取れる、最終手段!

祈祷力の戦いだ! 勝て! 皆ァ!!

お前らもう船降りろ
誰も豊夏が飛べるようになったことなど知らないので、互いに自分が守らねばと思っています。
思いやりの哲学スパゲティ。

「『識別禁止』解除」

「『不純物溶解禁止』」

「おぉ!? なんか凍らせやすくなったぞ!

ざっくり計算しましたが、大旨水1tにつきカエルボール2個分くらい楽になります。

水1gを1℃上げるのに1cal
水1tを1℃で10^6cal
仮に泥水を海水と同程度として、海水は-1.8℃から凍る
つまり不純物を無くすことで大旨2℃ほど下げなくて済む
さっきの計算より1tにつき2.010^6cal、ジュール換算で約8.410^6J
これは低運動量成人男性の一日の摂取熱量推奨値
……そんなに変わんねぇな

普段チルノが作るカエルボール
ここではニホンアマガエルを例とし、大きめに4cmとする
カエルの体長は口から尻まで
足の長さは膝までが尻から体長の1/3なので、その二倍+足の指を含め、体長と同じ4cmとする
つまり足を伸ばして全長8cm

ニホンアマガエル(Japanese tree frog)|爬虫類図鑑

これを厚みを持って閉じ込めるので、とりあえず厚み2cmとする
話を単純にするために完全球形のカエルボールを作成すると仮定
つまり半径8/2+2cmの球形氷から、カエルの質量を引いた分がカエルボールに必要な水の質量
氷の密度は-10℃で918.9kg/m^3
面倒くさいので-30℃の920.0kg/m^3を使用、マイナスKが出せるならいけるいける
後のためにg/cm^3に変換、1が0.001なので0.92g/cm^3
半径6cmの球の体積は4/3PIr^3より907.78cm^3、掛け算して832.4g
アマガエルは2.5~8gらしいので、キリよく7gとして引き算
つまりアイスボールは825.4g

Ice - Thermal Properties
【空気】空気の比熱、温度を上げるのに必要な熱量は? - エネ管.com
ニホンアマガエルの大きさ(体重と体長)【かわいい小型ガエル】 | 世界雑学ノート

幻想郷閉鎖時の1885年8月、平均気温は25.4度、相対湿度は82%
この温度の飽和水蒸気量はワグナー式より23.60675g/m^3なので、その82%の19.357494g/m^3が入ってる
-30度での飽和水蒸気量は0.45369g/m^3、というわけで1m^3につき差の18.9gが空気中から採れる水分
よってアイスボールを作るには43.67m^3の空気を冷やすことになる

飽和水蒸気量計算 - 高精度計算サイト

ここから。
25.4℃の空気、密度は1.18kg/m3、比熱は1006.28J/kg K。
-30℃の空気、密度は1.45kg/m3、比熱は1005.42J/kg K。
この物性値は乾き空気で、しかも比熱は定圧比熱っぽいが、めんどいのでこのまま進める。

湿った空気と乾いた空気、どちらが暖めやすい? -たとえば温度が10度で- 物理学 | 教えて!goo
空気の物性値 | 科学技術計算ツール

まず25.4℃における43.67m^3の空気は73.37kg
これはどちらの気温でも変わらない固定値なので、この量の空気が持つ熱容量をそれぞれ計算して引き算
4,088,331.36J、約4.1*10

定圧比熱と定積比熱(熱力学の第一法則4) | 色と形で気象予報士!

……あの、つまり運動しない男性の0.5人分の熱量がカエル周りから奪われてるんですが。
やっぱこの氷精やべぇし、つまり1tの水につきカエルボール二つ分しか楽にならないという意味。
チルノはカエルボールづくりに疲労してる様子はないので、これ純水にしてもあんまし意味なさそうな感じが……

波の高さを10m、70度、7.5mの幅をもたせると273m3=273t。
だから546個分のカエルボールが浮く。悪くない?

『にとり』
「あぁん!? んだ、山童ォ! あんたらは水が使えねえだろ! すっこんでな!」
『……にとり? まあ、だいぶ経ったしな。そこの氷精、そろそろ限界だろう』
「だからどうした! それでも今の季節、手の空いた氷使いはこいつ一人しか……ん?」

 そのチャンネルは、見覚えがある。
 逐一位置情報を送っていたチャンネルだ。
 この作戦には、綿密な場所の調整が必要だった。彼女が居なければ、作戦は成功しなかっただろう。

「……あいや、これはお見苦しい所を。何の御用かな、修理人」
『話が早い。氷精は限界で、お前はまだ余裕がある。それで、お前にもし《《氷精を助けられるだけの力がある》》ならどうする』
「あん? 修理人。今は忙しいんだ、謎掛けなら後に……」
『どうする』

どうするも何も無い。

「助けるよ、そりゃ。これでも重荷を背負わせてる自覚はあるから。
 それで? 何が言いたいんだ。まさかあんた、力を渡せる魔術でも修めてるってのかい」
『まさか。そんなことはない』

『力は渡せない。貸すこともできない。私は、ただ』

「お前に託すしかできないんだ、にとり。『識別禁止』解除」
『何なんだ、説明不足だな。良けりゃいいリーダーシップセミナーでも紹介し……て……』
「『限界禁止』」

『……っ! これって……!』
「他の河童の能力は知らない。あの氷精の限界を超えさせても、どこまでやれるか分からない。けど、お前のことはよく知ってる。私は、お前が成功すると思っている」
『まっ、待ってよ、姉さん! 急に無線かけてきて、急に力が湧いて、そんな言い訳みたいなこと言って……何でそこにいる? 何が起きてるのさ!? 教えてよ、姉さん!』
「悪いな。

「にとり。世の中は、一方通行だけじゃない」

一番一方通行なコミュニケーションしてる河童が何か言っている

不純物溶解禁止
実質凝固点上昇。

マジフリーズ
チルノはマジカルを略してマジなのだと思っている。

なんで船降りないの?

 私が、もう少しだけ強ければ。にとりに無理を強いる必要は無かった。
 船に移動禁止を当て、止めることが出来ただろう。

「今の山がこうなら……私はまだ、戻れないな」

 時折妹の話を新聞で読む。
 あいつは、この山の中でも強く生きているようだ。
 私がその隣に立つ資格は、今はない。

「さて」

 その懐は、いつもよりじんわり暖かく。

「一杯引っ掛けたら……また、開発始めてみるかね」

 冷たいスパナも、仄かに熱を帯びているようだった。

何もしないでいいじゃないですか。このまま行けば普通に着地できるんですよ。何する気ですか。

「ここから大蝦蟇の池まで、更に船を飛ばす」

 やろう。

「百瀬」

 豊夏で……なくてもいいや。
 文字数変わらないし。

「……皆」

「修理人。さっきは聞きそびれたけど……これが終わったら、名前を教えなさいよ」

「……だが、どうやって飛ばせばいい?」
「そこ考えてなかったの!?」

 ……それなら、一つ作戦があります。
 聞いてもらえますか。

じゃあ魔理沙さんに製法を訊けばいいんだな、とはいきません。魔理沙さんのあのポーションは『十分に魔力の染み込んだ茸を三日三晩煮込み煮汁を八つの濾過装置に通して専用の瓶に詰める』ことで作られています。これでは材料・時間・装置・瓶の点でコストが高すぎてRTAでは使えません。

 
 

  • 魔法の解説をしよう
  • 単純な魔法
  • 魔力は何処から?
  • 保管計画
  • ただの魔法じゃすまねえよ
  • 今やるべきこと

 しかし、逆に言えば《《それさえクリアできればRTAで使えます》》。
 そう考えた走者たちが一つずつ問題をクリアしていく傍ら、ブレイクスルーとなった技がありました。

 そう考えた走者たちは、一つずつ問題をクリアしていきました。

 手頃に手に入る無縁塚の彼岸花から魔力を抽出したり。
 熱の入れ方を工夫することで抽出を最適化したり。
 より良い濾紙を求めて月へ飛んだり。
 パチュリーさんからお古の瓶を死ぬまで借りたり。

 それはいつしか研究の為だけではなくなり、Magical Potion%というカテゴリが出来るほど盛り上がりを見せ、私が世界三位を取りました。楽しかったです。
 が、ある技の発見によりこのカテゴリは本来の意味を失い、反対にマジックポーション使用チャートが脚光を浴び始めます。それが今回使用した技、『Canceled Magic Embers』でした。

 これは魔法を失敗した際などに起きる、『魔力が完全に魔法に変わらずその場に留まる』という現象を人為的に引き起こす技です。やり方は簡単、特定フレームで魔法をキャンセルするだけ。完全なフレームでキャンセルすると魔法に使った魔力の7割ほどを残せます。

 ところで、魔力には個人によって質というものがあります。これにより同じ魔法でも性質が変わってきます。
 代表例はマスタースパークですね。風見幽香さんのマスタースパークは重みや衝撃があり明らかに殺意しかありませんが、魔理沙さんのマスタースパークはその範囲内の物を範囲外に押し出すような感じがします。気になる人は食らってみよう。
 これは幽香さんの質に『超善』があるのに対し、魔理沙さんは『信念』を持っているからです。

 この技の優れた点は、空気に触れてもすぐには魔力が霧散しないことです。本来意図されていない方法で現象を引き起こすため、
 

 材料と時間と装置。元々茸から抽出せずとも、魔力をそのまま打ち出せるスキルは確認されていました。フランドールさんが使ってたアレです。これを専用の瓶に詰めれば時間も装置も纏めてクリアできます。
 ただし、それはZootheraも想定済み。このスキルは非常に習得コストが高く設定されています。これを習得する時間で超能力の全スキルが習得できるくらいに高いです。もちろんRTAでは使えませんし使いません。
 
 使いませんが、理論は合っています。
 要は魔力をそのまま外に出せればいい。

 
 その名も『Canceled Magic Embers』。特定フレームを狙って

 じゃあ作りましょうね、といって作れるのは霖之助さんくらいです。その霖之助さんも一日未満で作れと言われれば難色を示します。まあ本職じゃありませんし。
 確かに『入れ物』に『魔力』を加えれば極論何でもマジックポーションなんですが、問題は魔力の方です。これは空気――正確に定義すると非幻想的物質ですが――に触れると分解して無害化する性質を有しており、生半可な入れ物に詰めるのは困難を極めます。竹水筒なんてもっての外。
 おまけに魔法ではなく魔力を打ち出すスキルはとてつもなく高度です。だから魔理沙さんは時間をかけて茸から抽出してるんですね。

 ではどうするのか?
 

 では材料を見てみましょう。

・茸
・大鍋
・濾過装置八種
・専用の瓶(オーダーメイド)
・三日分の時間

 はい無理です。こんなもん使えません。
 ラストが決定的ですが、初めの茸も採取時にデバフ『森の瘴気』をかけてくるので大概無理です。さすがは霧雨魔法店から盗んだほうが早いと称される数少ないアイテム。

 ならどうするのでしょうか。
 ここで、完成したマジックポーションの原料を見てみます。

・魔力
・入れ物

 お分かりいただけたでしょうか。要は、『魔力』を『入れ物』に突っ込めたら手段は問わないわけです。

作り方は様々ありますが、要は魔力を密封できる瓶に詰めれば完成です。

 何故密封する必要があるのでしょうか? それは、魔力は空気に弱いからです。厳密に言うと非幻想的物質に弱いんですが、最も問題なのは空気なのでこれに限って話します。
 端的に言うと、空気に触れた魔力は瞬時に霧散消滅します。
 

 じゃあ魔理沙さんに製法を訊けばいいんだなとはいきません。魔理沙さんのあのポーションは『十分に魔力の染み込んだ茸を三日三晩煮込み煮汁を八つのろ過装置に通して専用の瓶に詰める』ことで作られています。これでは材料・時間・装置・瓶の点でコストが高すぎてRTAでは使えません。

 ではどうするのか。逆に考えましょう。
 先程、四つの問題点を並べました。つまり、《《これさえクリアできればRTAで使える》》のです。詳しく述べると動画が一本出来るので、ここではサラッと走者たちがクリアした順に並べます。

 材料と時間と装置。元々茸から抽出せずとも、魔力をそのまま打ち出せるスキルは確認されていました。フランドールさんが使ってたアレです。これを専用の瓶に詰めれば時間も装置も纏めてクリアできます。
 ただし、それはZootheraも想定済み。このスキルは非常に習得コストが高く設定されています。これを習得する時間で超能力の全スキルが習得できるくらいに高いです。もちろんRTAでは使えませんし使いません。
 
 使いませんが、理論は合っています。
 要は魔力をそのまま外に出せればいい。

 
 その名も『Canceled Magic Embers』。特定フレームを狙って

 ではどうするのか? ここで思い返してみてください。昨日の25時頃、紅魔館でフランドールさんが使った魔法を。
 そう、彼女は魔力をそのまま打ち出していました。理論的にはこれをそのまま専用の瓶に詰めればお手軽マジックポーションの完成です。ね、簡単でしょう。

 とはいかないのがこのゲームです。さっきから専用の瓶と言っていますが、これを作るには『通常のガラスの融解物にミスリルコロイド溶水魔法液などで魔力を満遍なく染み込ませ、ムラなく透明な瓶の形に形成する』工程が要ります。要は高度な水魔法の高い熟練度が要求され、それでようやく瓶ができるという悪コスパアイテム。魔理沙の家から盗んだほうが早いと言われる数少ないアイテムです。

 ここまでが、発表から三日目で走者が辿り着いた境地です。
 それからが長かった。

 というのも、魔力というのは超不安定な物質です。方向の調整次第で南極地下の永久凍土からからとろ火で煮込んだじゃがいものスープまでいくらでも変化するので当たり前ですね。故に空気に触れると圧倒的勢いで霧散します。

 じゃあその魔力ですが、どこから来たんでしょうか。当然私は持ってません。
 魔法には『マジックザギャザリング』というそこら中から魔力を集める魔法もあるのですが、かなりの金魔法熟練度が要求されること、また環境に大きく左右される事などからRTAでは使いにくいです。何だよ宇宙線の放射量って。
 他にも気力スキル『你还在那里』で地脈を見抜き、それを魔力に変換するという手もありますが、両方の熟練度が要求され非現実的です。魔理沙が仲間にいるなら八卦炉を借りてワンチャン。

 ここで一つ例え話を。

 憧れのバイクが高くて買えません。どうすればいいでしょう?
 そうだね、貯蓄だね。

 というわけで、今回私が選んだのは貯蓄です。
 ただ、これはこれで非現実的です。

魔法キャンセル、魔力残る、残った魔力で魔法、さらにキャンセル
これで熟練度荒稼ぎ、とはいかない
非正規魔力では熟練度は上がらない、他人の魔力なのでバフがつくだけ、むしろ変な癖がついて普段の魔法が上手く行かなくなる
というか非正規魔力、実は内部で魔力の質として博麗霊夢のデータを参照している
博麗霊夢はインデックス0だから
そして霊夢の質は退魔、そりゃ使えんわ



……とはいきません。実はこの技、欠陥があります。
 そもそも、なぜまともじゃない魔力のほうが安定しているのでしょうか? これには魔力の質が関係しています。

 魔力には質があり、個々人によって得意魔法が変わる要因になっています。例のごとく魔理沙さんなら、「恋」「星」「反発力」などなど。
 そしてこれ、御丁寧にも全キャラ分用意されています。魔法は誰でも使える、幻想郷における科学のようなものだからですね。全キャラに魔法堕ちルートがあるとも言う。
 
ここで質問です。圧倒的量のデータを管理しようと思ったら、まずどうしますか?
 おそらく、ナンバリングすると思います。数字を振ったら、その数字を指定するだけでデータが取り出せますからね。順番も付いてとても便利です。
 ではちょっと技術的ですが、後からナンバーに登録されてないものが出てきたとして、それを一旦登録ナンバーのいずれかとして保管しなきゃいけなくなったら、何番として受け取りますか?
 たぶん、1番目だと思います。2番目や3番目では後から探しにくいでしょう。最後の番も探しやすいですが、ここは万一登録ナンバーが増えると変わってしまいます。1番目は不変で即時に検索できわかりやすい。

じゃあ最後に一つ。
 幻想郷における1番目は、誰が適任でしょう。

 はい。この製法で出る魔力は、《u》博麗霊夢《/u》さんのものとなっています。質は「無」「不干渉」そして「退魔」。無であるために変換しやすく、不干渉であるために分解されにくく、退魔であるために魔の力を駆逐します。

 変換しやすいというのはいい事のようですが、これはちょっと魔法を失敗したときの被害がとてつもないという意味です。それが分解されにくいが故に留まり続ける。魔法キャンセルが文献に残らない理由が伺えます。
 また、魔の力の駆逐はどうしようもありません。この魔力を使い続けると変な癖が付き、《color:red》自分の魔力が使えなく《/color》なります。毒では?

 なので『Magical Recycle』はいつでも使える代わりに、魔法使いとしての寿命を削る製法となっています。長く魔法使いプレイをするつもりなら是非辞めましょう。リハビリはだるいぞー。

 ちなみに霊夢さんが魔法堕ちするルートでは、当然のようにこれを逆利用してメドローアじみた魔法を撃ってきます。天才は伊達じゃなかった。



 では魔力を入れ物に詰めましょう。今回はもう竹水筒を破壊してしまったので、代わりにカバンに詰めます。キャンセルキャンセルキャンセルキャンセル。

 え? さっきの話は何だったのか? そんな攻めチャーして大丈夫なのか? 普通に煙草潰したほうが安定しないか?
 ははは、ただの尺埋めですよ。大丈夫な訳無いでしょう。安定するに決まってるじゃないですか。失敗前提ですよこんなもん。
 ですが元々私は、その失敗をこそ成功と思っていたのです。それが少しの努力で大成功、加えてさらに早く終わる。その可能性があるならやらないわけがないでしょう。そう、これは攻めチャーではありません。ただのオリチャーです。

 ……というかな! 着地点にちょうど煙草畑とか予想出来るわけない! 山の不確定要素がマジでデカすぎる! リアル昨日まではそんなことなかったじゃないですか! こんなのオリチャー以外でどう対処しろっつーんです! ほんと! ほんっとこのゲーム!
さあ皆さん、《ref》配置《/ref》につきまして。
 
 まずは船首左、一輪さん。右に響子ちゃん。その間でちょっと下がって私、その背中を支える修理人。
 胴の間に水蜜さん。
 船尾にこころさん、雲山さん。

 では5秒後、こころさんからお願いします。シーン11カット3トラック34。はい、よーいスタート。
「……そうか。なら――我々がやる」
「待て、秦の。これは私のエゴだ。それを優先して、皆を危険に晒す気か? 煙草はなければ山の連中が冬を越せないとか、そんなものじゃない。ただの嗜好品なんだよ」
「しかし」
「――分かんないけど、困ってるんだね?」
「それなら、命蓮寺が助けるには十分よ」
「村紗、一輪」
「私も居ます! きっと、大丈夫ですよ!」
「響子」

やまふかみ/とりのねきかぬ/すみかには/わかねさめより/あくるをそしる
山の奥、鳥の鳴き声も聞こえない住処は、私の眠りと目覚めよりも明日を知っている。
二十一代集データベース詳細画面
深しの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典
にはの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典
古文単語「さむ/覚む/醒む」の意味・解説【マ行下二段活用】 / 古文 by 走るメロス |マナペディア|
ぬの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典
ぞの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典
明くる(あくる)の意味 - goo国語辞書

私が、私の命を掛けて救えるなら――

……ぬえ。ごめんね。
あんたが一人で帰れるってのは知ってるんだ。

症状は軽い酩酊。無色無臭なので『幻視』の類がなければ事前に気づけず、なかなか空気に分解されないため効果時間もバッチリ長めとなっています。症状に比べて性質の殺意が高すぎる。

 はい、そうですね。デノイザーの習得時は周囲をナズーリンさんの部下に囲まれている状況でした。ガッツリ痕跡を残すこんなもんは使えません。

 でもこの毒ガスは他に使えるんじゃね? と思いますが、これがまた使えません。まず効果時間が長すぎてこれを使うと方法が即バレします。
 次に魔法使いが一番始めに教わる失敗ということもあり、対処法が数多く存在します。魔法知識が無くても発動すれば何とかなるというタイプが作られるレベルでいっぱいあります。消火器みたいなもんですね。命蓮寺にもいくつかセットされてます。

 そして何より、これが出るのはキャンセルした魔法から。
 つまり《《一番始めに自分が食らう》》のです。使えるかこんなもん。

 というわけで、魔法キャンセルはタイミングが正確なら何も起きない、間違えば毒ガスを食らうという驚くほどリターンが薄い技術です。

タイミングさえ正確なら魔法戦で優位に立てるんですが、失敗のデメリットがデカ過ぎて誰もやってないというのが現状です。まあ魔法使いの本分は戦闘じゃなく研究ですからね、仕方ありませんね。
吸っただけなら軽い酩酊程度ですが、この近くで再度魔法を使おうとすると追加で二つ症状が出ます。
 一つは魔法の暴発。撃った魔法が自分に飛んでくるなどは可愛いもの、酷い時は全然別の魔法が発動し、結果安全装置を全部解除したホムンクルスが生まれたりします。ワザップかな?

 そしてもう一つが、魔力最大値の減少。
 
 
魔法使いにしか効きません。上記の症状は魔法使いに対してのものであり、そこらの妖怪や神には軽い目眩程度、一般人間に至っては『無害』です。もうなんか、そう使う事を想定して対策してんじゃないかと疑うガチガチさです。

唯一の救いは吸うだけなら軽い酩酊で済むことです。

わぁお、殺人的。

というわけで、魔法キャンセル

はタイミングが正確なら何も起きない、間違えば毒ガスを食らうという驚くほどリターンが薄い技術です。

無色無臭、空気分解されにくいが故に効果時間は長め。
 
 ……無いと思います。私も無いです。ところが天才というものはどこにでもいるもんでして。毒ガスとある物の共通点を示し、それが同じであることを証明したのです。

魔法使いがどうしたら咳、熱、魔法阻害になるか

吸収した場合
触れても酩酊程度になる

ただし、これだと本気で対処する意味がわからない
あとなんで吸収しようと思ったし

触れた場合
クッソ危ない方
これだと妖怪に酩酊程度効く意味はふわっとしか
あと殺意が高すぎてRTA的になぜ使わないのか、
魔法使い的にむしろ研究して安全を見つけるべきだろとなるレベル

魔法キャンセルには欠陥がありまして、《u》キャンセルのタイミングによっては魔力が魔法に変わり切らずその場に残ります《/u》。デノイザーの習得時は、周囲をナズーリンさんの部下に囲まれている状況でした。そのように痕跡を残す技は致命傷になり得ます。

 では全てが連続普通の使用でいいかといえば、そうでもない。キャンセルを使う理由は基本的に「その方が早いから」です。身体強化の習得が分かりやすいですね。踏み込み一回の間に連打し、一瞬で基礎習得していました。

 ただし、今回の水魔法はそれに沿わない例外の理由。
「残る魔力が欲しかったから」です。

魔法キャンセル
魔法には魔力が必要
自前の魔力に対し、変換をかけて魔法に変える

変換には、最初から魔法に変換する全ての魔力を撃ち込まなければならない
自分とパスを繋ぎ、漸次魔力を魔法に変えていくのは強制終了できなくなる可能性を考えるとかなり危ない

「魔法は門外漢だが……魔力が切れた魔法使いが、どうなるかは見た事がある。咳、熱、目眩、立つことすらままならぬ者共……! まさに今の貴様の事よ!」

なら千里眼出せ

霊力とは、生きとし生ける物全てが持つ力です。
魔法ほど体系化されていませんが、その理論は非常に素朴。

 『身体強化』を習得したとき、意図的に省いた情報がありました。
 何故今回はキャンセルを使ったのか? です。

 ピンとこない方は思い返してみて下さい。私は零日目夜に、デノイザーを《u》そのまま連続で使う《/u》ことで習得していました。しかし身体強化や水魔法は《u》魔法キャンセルを繰り返して《/u》習得しました。この差は一体何だったのでしょう。

 結論から述べれば、「危険だったから」です。
 順を追って説明しますね。実は魔法キャンセル、一般魔法使いの間でも認知されている現象です。ただし名称が違い、あちらでは『魔法の失敗』と呼ばれています。当然ですね、出るはずの魔法が出ないんですから失敗以外の何物でもない。ですが失敗と呼ばれる理由はそれだけではありません。

 このキャンセル、なんとタイミングによっては「有毒ガス」が発生するのです。症状は咳、熱、目眩、魔力切れ、魔法の暴発等々。おまけに無色無臭なので『幻視』の類がなければ事前に気づけず、なかなか空気に分解されないため効果時間もバッチリ長めとなっています。殺意。

 はい、そうですね。デノイザーの習得時は周囲をナズーリンさんの部下に囲まれている状況でした。こんなもん使えません。

 でもこの毒ガスは他に使えるんじゃね? と思いますが、これがまた使えません。まず効果時間が長すぎてこれを使うと方法が即バレします。
 次に魔法使いが一番始めに教わる失敗ということもあり、対処法が数多く存在します。魔法知識が無くても発動すれば何とかできる対処法が作られるレベルでいっぱいあります。火事に対する消火器みたいなもんですね。命蓮寺にもいくつかセットされてます。

 そして何より、ガスが出るのはキャンセルした魔法から。
 つまり《《一番始めに自分が食らう》》のです。使えるかこんなもん。

 そういうこともあり、魔法キャンセルに傾倒する魔法使いへの風当たりは強めです。強めというか、進んで失敗する馬鹿という扱いです。まあ魔法使いが魔法を失敗しまくってたらそりゃ言われますよ。馬鹿。時間の浪費。魔女の面汚し。生きてるだけ。先輩は出来たぞ。転生したらミジンコ。残当。

 ……さて。
 ここまでが、大図書館の本で言及される話。

「『身体強化』……!? 見え透いたハッタリを!」

 拳をぶつけ合わせ――こっからが、RTAの話です。

 まず、通常の魔法キャンセルには重要な利点があります。
 それは熟練度が稼げること、連射できること。タイミングさえ合えば、爆速で一つのスキルを極めることができます。身体強化はまさにその恩恵を受けていました。

「魔法は門外漢だが……魔力が切れた魔法使いが、どうなるかは見た事がある。咳、熱、目眩、立つことすらままならぬ者共……! まさに今の貴様の事よ!」

 そして、毒ガスにも利点があります。先程の性質には、一つ決定的なムジュンがありました。
 それが魔力切れ、そして魔法の暴発です。当然の事実ですが、魔力が無ければ魔法は使えません。しかしここでは、なんと暴発とはいえ魔力無しで魔法が発動しているのです。これは明らかなムジュンと言えるでしょう。

「体を支える『気力』だけで何とかなるほど……山は! 弱くない!!」
 

 しかし実際の答えはもっとシンプルでした。
 魔力がなければ、魔法は使えない。
 つまり、魔法が使えるということは――

「……倒れ、ない……!?」

 ――この毒ガスは『魔力そのもの』です。
 

 ところがこの仮説――実は、間違っていたのです。
 

「……これを止めるとは……! だが! やはり、甘い!」

ここまでがRTAの話。
ここからがプログラム的な……あっ、もういい? そうですか。
 

ちなみに、毒ガスの正体はパチュリーさんも解明しています。
何故そのような性質を持つのかは流石に至ってませんが。

 紫幹翠葉はですね、実在する四字熟語でして。山の木々がみずみずしく青々としていて美しい様子を指します。「紫幹」は暗褐色の幹、「翠葉」は緑色の木の葉のこと。「紫翠」と略すこともありますね。出典、四字熟語オンライン。
 そしてこのゲームにおける紫幹翠葉は、それを元にした気力スキルの大技です。ふっ飛ばした相手の軌跡を幹に見立て、追撃として大量の緑弾幕と枝状のレーザーで挟み込みます。傍から見たらすっごい綺麗。

 え、どうやって飛ばすか?
 決まってますでしょう。右ストレートです。

 
「……まだ、抗う力があるのか……!? 信じられん……!」

 さてこの技、システム上こうやって初撃の右ストレートさえ受け止めれば追撃されません。あとはこのままカウンターを決めれば勝利です。勝利なんです。ええ全く、そのとおりなんですけど……

「だが……浅い! それでは私は止まらんぞ!」

 ――悲報。
 身体強化、出力足りません。

「吹き飛べ!」

 そうこうしてる内に、ふっ飛ばされました。
 いやまあ、当たり前なんですよ。

いくら空気に分解されなくとも、川下り中の船上はその空気自体が置き去られる場所。
ただ毒ガスを置くだけでは、当然流れていきます。

そう、私はただの一言も喋ってません。
そして人体には、喋らない限り密閉される空間がひとつだけあります。

ならこの毒ガスに魔力を溶かし込む効果でもあるんだろ? って思いますよね。実際私も思ってました。事実ちょっと前のRTAではそう考えられ、罠付き魔導書の不正読書なんかに利用されていました。おかげで咳と熱と目眩の中魔導書を読み続けるマッドウィッチルートが開拓されたりしました。二度とやんねえ。

何故今回はキャンセルを使ったのか? です。
ピンとこない方は思い返してみて下さい。私は零日目夜に、デノイザーを連続で使うことで習得していました。何故身体強化や水魔法もそうしないのか、という問いです。

使わない理由
結論から述べれば、「危険だったから」です。魔法キャンセルには欠陥がありまして、キャンセルのタイミングによっては魔力が魔法に変わり切らずその場に残ります。周囲をナズーリンさんの部下に囲まれている状況でそのように痕跡を残す技は致命傷になり得ます。
また逆に、キャンセルを使う理由は基本的に「その方が早いから」です。最後まで見続けるより、動作を中断して熟練度を貯めるほうが効率の良い失敗なのは明らかです。

ただし、今回の水魔法はそれに沿わない例外の理由。
「残る魔力が欲しかったから」です。

ただし、これで魔力を集めて使っていることは魔法使い達には絶対伏せましょう。
イベント戦闘『異端排斥』が始まります。

魔力切れの状態から、魔法スキルを撃つことはできません。
頑張ればどうにかなるとか、そういうものじゃありません。システム的に頑張ってどうにかなるときの挙動が用意されてないのです。

アッパーカットで上に飛ばすバージョンもありますが、この船の上だと追撃がうまく決まりません。なのでここでは必ずストレート、横に飛ばすバージョンで打たれます。

 そして幹に見立てる都合上、必ず真っ直ぐ飛ぶので、立ち位置を調整すれば通りたい場所を必ず通過できます。できますが、今回は都合上飛ばされるわけには行きません。殴られて押し合いをしている状態でその場所まで下がる必要があります。
 つまり?
 魔法が使えない状態で、

ここは、蓋を開けた竹水筒を陰陽玉に詰めた場所です。
 出来るだけ零さないよう詰めましたが、焦っていたのもあり多少零していました。
 では、その中――竹水筒には、何が入っていたでしょうか?

 答えは……水!
 そして、《《魔力》》!
 解説は、後ほどぉっ! 

「……あり得ない! 何だ、その力は……! 私が、押されている……!?」

 魔力といいます。

あ、これやっべぇ。やっべぇの食らった。焼けちゃいけないの焼けてる匂いする。死んだ? これ死んだ? セルフリセット? それとも三途の川ルートに変更? いやあ無理よ、ここに留まるにはちょっと未練が足りませんのことよ。つーか閻魔様ぜってー離してくんねえもん。現段階での私の出自はちょいと複雑なまんまですから。それくらいならこの
 

 ――仙充籙。
 さあ、やられる前にやるぞぉ! 『|空紅《からくれない》』!


「はぁ……はぁ……」
「よし! もう少しよ!」

 そう言いながら、船が動かないように舵を支える船長。
 その後ろでは、十字架に磔にされた雛が息を切らせている。

「やるな。見直したぞ、厄神」
「……そうね……私の力は、厄の力だし。これくらいは、できるのね……」

 霊力で形作られた薙刀を支えに、悠然と立つこころ。
 その目の前では、水木群生地の出口が朝日を反射し、燦然と輝いていた。
 

「とんでも……ないわね。荒魂信仰が生まれるのも頷けるわ」

 そこへ一輪と雲山が、十字架が立っている船室に上ってくる。
 雛は必死に左右に首を振っている。

「おおう、一輪? もう平気なのか」
「大体はね。ちょっと豊夏の方を見て、それから前に出るつもりよ」
「そうか。まあ、こうなればしばらく水蜜の十八番だ。……急がなくていいぞ」
「もちろん」

 焦った様子
 髪に反射する光

「すごい……! 外への道が、一瞬で! あのっ! 先輩って、呼んでもいいですか!」
「やめて。たぶんこれ、今日一日だけだから。昨日、やたらと濃い厄を回収したのよ。きっとそのせいだから」

「濃い厄? 無縁塚にでも寄ったのか」
「それが違うのよ。私が行ったのは……って、その前に下ろしてよ」
「今は人手が要る時期だ」
「……何かできるなら、逃げたりしないわよ。頼むわ」

勝てる勝てないじゃなく、勝つ。
それがRTAで、そのために積み重ねるのが研究です。
しかし想定外があるとこちらもボロボロになります。勝つけど。

騙し討つのも貴方方命蓮寺のやり方ですか?

一撃
ごく稀だが通る
ごく稀なので、対戦前の儀式としてやってる
防がれる

もう逃げられないのは、彼女も同じです。
誰にも助けは求められない。

私が動けば、それは毘沙門天の考えとも取られることも。

分かっています。
故に、話はもう付けました。毘沙門天はおっしゃられましたよ。
「悪を断つべし」
私は貴女に慈悲を与えない。
飛び倉の力を使い、船に結界を張りました。もう貴方は逃げられませんよ。

私を船から逃さない結界を出せるなら……
そのまま狭めていって、諸共に押し潰してしまえばいいではありませんか。

甘いんですよ。

法界に入ったなら、もう良いですね。
絶対に助けは入りません。

飛び倉を破壊するのは不可能だが、飛び倉にアクセスするためのインターフェースは破壊できる

バリアに飛び倉の力を割いてるので、自動で飛ばせない
水蜜の手動運転が必要

手動で法界へ
そこで寅丸星が豊夏を殴り落とす
しかし法科の細工で船も落とす
どのみち玄界には帰らねばならない、最後の一人を回収するために
この時点で誰がそうなのかは分からないから、玄界に帰れる手段は必要
あと木材

そろそろ法力スキルを一つくらい教えてくれてもいいのでは?

そのまま法界に落とす

豊夏、寅丸星、
村紗船長、隠れ鵺

船長が最後に首を吊るには、

過去が私を救いました。
そうこうしてるうち、ついに吹っ飛ばされました。
今、椛さんが行った私の吹っ飛ばし。これに計四つの調整が入りました。『
さっき私が吹き飛ばされたこと。実はここには、

現在私は椛さんに吹き飛ばされ上空にいますが、実はこれ、すでに四回調整されています。
『根性』による方位角、ロザリオダメージによる威力。そして『身体強化』によるタイミングと小ジャンプによる仰角です。
に無ぇっ!!

「……!? 馬鹿っ、何故動く! 致命傷になるぞ!?」

 なるじゃないですよ! 致命傷です! 力が入らない身体! 生気を失った目! 描写したら規制かかりそうな熱傷! 今の一撃、いやもう二三撃あったかな、分かりませんが! これ以上無いくらいに効いてますとも!

 それでも! それでも尚、ここから死ぬ前にあんたを倒せればお釣りが来るのさ! 仙充籙ッ! 死ぬ運命を遅らせろ……あれ、この減り幅ヤバくね? 全然時間無くね? えーと、1%減るのにこれだけかかるなら、100%全損まであと……

 ……霊力スキル! 『|空紅《からくれない》』! 残りの弾幕を全力で躱す! 体は急いで! 気持ちは冷静に! 食らえば死! 迷えば死! 落ち着け、落ち着つけよ……

 ……抜けたぁ! 見えたぁ! 犬走椛ィ!!

「く……!」

 まだ追撃は残ってる! 今の椛さんは隙を晒した状態です! 今こそ好機、カウンターの時間だ! ここを外せばもう勝てない! 流石にリセット考える!
 3m! でも今は考えない! 当てることだけ考える! 当てる! どこに! 気絶狙い! 頭! 当てる! 当てる!
 2m! 待て! 身体動かん! 何当てる! まあ一個しかないな! 人体の一番大事な出っ張り!
 1――

「…………見事!」

 ――頭突きだ、オラァァァ!
ただ止めるのも難しい大技なのです。
受け止められたからと言ってすぐに次に移れるものではありません。

妖怪基準では、そうですね。人間基準だと、即死です。銀行券じゃないんですから半分になればそりゃ命はゼロですよ。そう考えると酒呑童子は首だけで食らいつくんですから凄いですね。渋沢を超える大悪霊だったことが覗えます。日本は日本一の悪霊生産国なんですね…………。
体が軋んでも、肌が爛れても。肩が引き攣っても、片目を焼かれても手首が鮮血に染まっても喉笛が破られても頬が切れても腕を捥がれても胸を貫かれても上半身と下半身が別れても、死ぬ予定は無いので問題ありません。
我思う、故に我ありです。これにはデカルトさんも微笑みかけてくれる事でしょう。
通称山月記チャートなるものを作って走った走者がいたり。なお妖怪の山に虎は居ません。
途中で辞めるのは至難の業です。この辺はイベント『液体魔力』をやった方ならすんなり納得するかもです。
できるよう、買う必要があったんですね。
 ――仙充籙。
合成! 法鎧包珞! 札で包むだけのお手軽パワーアップ! 首から外して、手に巻いて……ロザリオと合成! これで左手だけガチガチになりました!
個々の防御力じゃどうしようもない……法壁も破られたのに防御専門じゃないアイテムに守れるの……? そんなお悩みをお持ちのあなたに! 合成! ロザリオに札を貼り、法鎧珞を首から手首へ付け替え!
これで左腕に力を一点集中します! あとは流石に正面から打ち合うと負けるので、全部横から弾けばOK!

帽子セーフ!

 そう何度も想定外を取れると思うなよ! 外せない帽子は破壊不可! 質量攻撃以外なら致命的なダメージはございません! 今回はレーザーで焼かれたんでくっっそ熱いだけです! 身体機能に問題無し! ヨシ!

実はこれら四つに風と水流と相手の予測を揃えると、射出後そのまま船に着地することができるのです。万が一ここから倒しきれなくても、着地できればまだ続行できますからね。えっ、多い? 大風一つよりは楽ですよ。
 また、相手と息を合わせるせいか、預かり知らぬところでいろんな気力スキルの熟練度が貯まります。なお肝心の根性は貯まりません。けち。
 とはいえ、これらはあくまで副作用。直接勝利には繋がらない出来事です。

 けれど彼女は、古杣だ。
 その生き方は、正しかった。
 やり方は間違っていなかった。彼女は音を使い、確かに人に恐怖を与えた。何もかもが誤っていたわけではない。

 自分の力で変えられる環境なら、

 それは気づかなかったからだ。違和感をそのままに、自分のやることに疑問を持たなかった。その些細な食い違いが身を滅ぼした。ただそれだけだ。
 

音を出して人を怖がらせるという妖怪だった。最近はせっかく音を出しても誰も聞いていないということが多く、長らく恐怖を食べていない。腹が減ったとぼやきながら、いつもの散歩道を歩いていた。

遅かれ早かれだった。
 仲間たちから離れ、遠路はるばるやって来ても、自分のやり方に固執していた。変われなかったのは自分で、それが悪いとすら思っていなかった。
 それを、椛は示した。
 そして、どうすればよかったのか導いてくれた。
 本当に楽しかった。それだけだ、謝ることは何もない。私が気づくのが遅かったんだ。

 それで私が生き返るわけじゃない。その姿を消えた私が見られるわけでもない。
 ただ、今の私が満足するだけだ。誰からも忘れられたわけじゃない、覚えていてくれる奴がいるんだって。そしたら、気兼ねなく消えられる。
 
けして、信念を貫き通したから消えたのではない。
 
それは、生きている者にしか分からない。
生きている者だけが、証明できる。

己の信じる物は、

確かに人々は、音を恐れていた。その事実は、古杣が古杣であることを肯定する。

――その一件以降、いくつかの懐疑論が生まれた。山の言葉に従うこと、それだけが正解なのだろうか? 

ロザリオを挟んで弾を蹴り、
法鎧珞、残った札、仙充籙で一箇所ぶち抜く

 いや、でもそっちならこのまま……

 方位角、威力、タイミング、仰角。この四つを紫幹翠葉のノックバックに合わせることで、《《五秒以上空を吹き飛ぶ》》ことを確定させました。あとは分かるな。

情報部が事態の鎮静化を図っても、責務を引き受けた上司が配置換えされても、八ヶ岳が妖怪の山となりかつての人里と離れても、椛は考えた。

彼女のやったことは誤ちだったのか。

「けれどそれは、私が本気を出さない理由にはならない」

 薄れゆく意識と、劈くような耳鳴りの中。
 椛の瞳には、ブロンドの髪を靡かせ船室へと駆けていく百瀬豊夏の姿が、強く美しく焼き付いていた。

雷鳴を轟かせ
 
 
 辺りを満たす。雷鳴が耳を劈く。
 
 ブロンドの髪を靡かせ船室へと駆けていく百瀬豊夏の姿が、強く美しく焼き付いていた。
半壊。なおロザリオの半壊は見た目だけであって、効果は完全に破壊されてます。うん、まあそうでしょうね。クロスに意味があるのであって、鉤括弧に信仰なんて聞いたことありませんし。四つ揃えばワンチャンあるかもですけど、これ一品物なので。

効果は完全に破壊されてます。うん、まあそうでしょうね。クロスに意味があるのであって、なんて聞いたことありませんし。四つ揃えばワンチャンあるかもですけど、これ一品物なので。

 ブロンドの髪を靡かせる姿が、強く美しく焼き付いていた。
空紅……ぃぃぃぃぃぃい!!!!
消えるけどぉ!!! しゃあないんじゃあぁぁ!!!!

Q:葉っぱを使って空紅が消滅するなら、紅魔館地下で稼いだ熟練度は消滅しているのでは?
A:体力満タン(地点A)→体力減る(地点B)→体力最大値伸ばす(地点C)のうち、葉っぱが戻すのは地点Aでの体力値のみであり、地点Cで最大値が伸びたという処理は葉っぱが残したままになっている。
本当に戻すなら、地点Aでの最大値にまで戻るはず。ここから、葉っぱが戻すものには二種類のタイプがあると推測できる。

い:通常考えるように、値ごと戻すもの。
ろ:値はそのままにするもの。

あるいは、葉っぱは内部の値を元に戻すものであり、伸びた最大値はそのままにすると考えられる。
いやそれなら熟練度消滅しますけど

熟練度が残るのに、体力は回復し(もどし)、体力最大値も残る。
今回は熟練度を戻し、空紅をもどし……?

体力は減る。最大値は増える。熟練度も増える。空紅は、新しく値の入れ物を新設する。
減るものは戻す、増える物はそのまま、新設するものは…

残った魔力、霊力変換、千十点で魔力ダメ吸収

残った魔力だと口の中のものを使うことになる、本体は蹴っ飛ばしたし
ただ量がすっごい少ないので、これだと反応性がゴリ上がる
この魔力は魔法使いにとっての毒だから使われてないのに、その反応性のものを口に含むのはやばい
対処するにしてもフラグが無いのでむり

霊力変換
単純に苦しい

仙充籙
フラグなし

 あれは今、うまくいけば水の中を転がっている最中です。そう簡単には取り出せませんし、拾えるタイミングは
 でまぁ、こんな濁流から陰陽玉を取り出すには、この先で陰陽玉がどれだけ操作を受け付けてくれるかにかかってます。中に入れた竹水筒は消費するつもりだったんでいいんですが、陰陽玉が無くなるのは痛い、とても痛い。

隙があるって知ってたから、決死の覚悟で近づいたんですよ……? 

つまり頭を使わない分考える余地が生まれるという事ですね。

 とはいえ予断、やはり許されません。仙充籙のダメージ判定のスキを突き、魔力消費をターンダメージに変えたこの現状。あと何秒もすれば魔力切れを生贄に私の死体が召喚されます。この効果は魔法カードの効果を受けない。

「だが……浅い!」

 というか、そもそも初級魔法の『身体強化』で妖怪と真っ向勝負自体が土台無理な話です。つまりこういうことです押され始めました。かつてない後ろ向きの速度が出ています。
豊夏ちゃんは仙充籙のダメージ判定のスキを突き、『デノイザー』の魔力消費をターンダメージに変えた状態です。普通に『デノイザー』を使っても魔力切れになっていた状況に、『身体強化』を重ねがけするとどれくらい持つでしょうか。なお、『身体強化』は常に全力を出すものとします。