Canarealプロット
知らぬ存ぜぬと申しまするは、思考停止の花言葉。
さぁさ皆様お立ち会い、誠に奇怪な青物語。
見やれ見逃せ大立ち回りの目に足伸びたる一時間。
どうか御目見得願います。

 退屈で刺激的な日々だった。

 するりと入り込む光が、瞼をじっくり加熱する。それは僕の二重の守りをも無視して瞳孔まで差し込み、信号の一つとなって脳を発火させる。

「……」

 薄目を開け、光の出処を探る。自前で塗り直した棚。セール品の置き型時計。入居祝いのカレンダー。塗りたての匂いがする壁。そこに似つかわしくない菱形の光。そしてゆっくり瞼を下げる。

 今日は休日だ。この光がどれほど不都合で、後に繰り越すほどに深い傷痕になるのだとしても、五分は待ってくれる。それは嫌々ながらもゆっくり繋がれていく思考と記憶が保証していた。

「……」
「そろーり、そろーり、ごっそごそー」

 だがその期間は過ぎた。光が不規則に翳る。緩急を付けて瞼をくすぐる。続けて鼓膜を震わす物音が、その菱形の手前側を浮かび上がらせる。二度三度と寝返りを打ちつつ、僕は心で五分を数えた。二十秒で数え終わり、すっと上体を起こす。

「……朝」
「ああ、起きたか」

「既に皆帰った。

「どれだけ疲れていたんだ

「斧を投げていたのは君だ

これは、僕らが全員
死んでしまうまでのお話。