「……そうっ! そして今、我々の旅はついに終わりを迎えようとしているのです! 目指すは山の上、三柱そびえる神の社! あの御柱のもとに、次は如何なる物語が待ち受けるのか! ……今宵、あなた方は歴史の目撃者となる!」
「やんややんや!」
「面白かったぞー、嬢ちゃん!」
「……」
 多分、私の顔はこう言っているだろう。
 どうしてこうなった。

 といっても、一つずつ紐解けば何でもない。
 メディスンが神の覚悟を見たいといい、
 フランドールが閻魔を例に出すが、
 意外に手続きが面倒で断念し、
 もっと身近でフランクな神と言われたので、
 守矢神社が引き合いに出て、
 それなら手頃と話がまとまり、
 妖怪の山へ向かい、
 架空索道に乗って、
 改めて魔理沙の出した条件を話し合っていたところ、
 相乗りしていた里の人間が面白そうだと話に乗っかり、
 ならばとこいしが吟遊詩人の真似をして説明を始め、
 しかも何故か妙に上手く、
 結局最後までそれで通した、というだけの話。

 ちなみに、私が吟遊詩人をやろうとしたら止められた。
 曰く、天邪鬼の出るところを面白くできるのか。
 言うまでもなく無理なので、やめておいた。

「いやあ、つい夢中で聞いちまったよ。ほれ、お代だ」
「えっ、こんなにいっぱい!? いいの!?」
「いや、多くはないぞ。乗り場でラムネ買ったら消える」
「あれは乗り場の物価が高いだけよ」
 フランドールから見ても高い。ちなみに、彼女が飲んでいる紅茶の茶葉はグラム単位で取引される合法の代物だ。いつも不思議に思う。荘園があるわけでもないのに、一体どこでそんなに金を稼いでいるのだろう。