思い返す。
遠見を組んだ日。
思い返す。
小悪魔に抱きついた日。
思い返す。
自立魔力を消した日。
うん、良し。うまく行ってた。躱して撃ってで精一杯で、ちゃんと倒したか微妙に自信なかったのよね。走馬灯は優秀だな。魔法で再現したい。
さて、これが見えてるという事は。いよいよ私は死んでしまったか。覚悟してなかったわけじゃないけど、いざそう考えると胸の奥が冷たくなるような感じがしたので火魔法。
けれど、死ぬにしては相応の理由がないわね。あの時の痛みは頭痛と筋肉痛くらいしかなかったし、あとはちょっと程度に差があるだけで気分が悪かっただけだし。流石にこれで死ぬほど病弱になった覚えはない。
つまり、単に気絶してるだけだろう。だったらこのまま放っておけば起きるわね。でも比較対象になりそうな前回の気絶の記憶がないから確かなことが言えないな。珍しいわね、私が忘れてるなんて。
ん、じゃあ、今考えてることも記憶から消えるのか。
……
……中からじゃ起きないか。研究対象ね。
まあ前もそうだからって、今回もそうとは限らないし。どうせ起きるまで暇だし。そうね、とりあえず火を床にでも置いて。これでも眺めながら、インの情報の整理でもしましょうか。
Y担当、イン。銀の河に落ちて以来銀髪になった、普通の小悪魔。魔術の痕跡をびっしり纏っても気付かれなかった、認識歪曲と自立魔力憑きの図書館司書。
痕跡については説明がつく。銀の河とはすなわち、水銀の河だったのだろう。水銀そのものの魔法的価値もそこそこあるけど、河ともなれば別の問題が起きる。極稀だけど、同じく水銀が主成分の赤い石、「賢者の石」が流れてる可能性があるのよね。人為的に純度を上げた石には敵わないけど、天然のこの石だって十分魔法の触媒になる。
そこへ落ちてくる、魔法が使える生命体。慣れない状況によるパニック、側には優秀な触媒。意図しない魔法の暴発が起きても何もおかしくない。
その暴発の後遺症が残りました。まあ、ここまでならありえない話じゃないわね。死ななかっただけ運がいいくらいだわ。
問題は歪曲よ。明らかに「普通になりたい」って感じの意思が入ってる魔法。パニックにしては目的がはっきりしすぎてるし、それなりの大魔法だから水銀の河に入ってる一個二個の石じゃ効率が全然足りない。まさか三日三晩溺れてたり、数万個沈んでたりしたわけないだろうし。
一応、効率は説明できなくもない。魔界は魔界神の作ったいわば「部屋」であるため、時々魔界神の私物がそのへんに置かれていることがある。
その私物が「掃除」に巻き込まれて河へ、というのは、まあありえない話じゃないわ。その実例を何冊か保有している以上、納得行かざるを得ないし。つまり、インが出会ったのは魔界の天然賢者の石ではなく、魔界神の人工賢者の石だったのだ、という仮説よ。
……仮説か? 私が気絶で済んだのは、自立魔力との撃ち合いに勝ったからだけど。勝った理由として、《《どこかで見たことのある動きだったから》》っていうのが大きい。
見た事があったから余裕があったし、不意打ちすらも完璧に防げた。もしもあの自立魔力が賢者の石から生まれた魔法であったなら、既視感に説明がついてしまう。私の扱う賢者の石より、何段階か上の、魔界神の賢者の石……
……
……
……
……ふぅ。ちょっと納得しちゃったし、この件はこの辺にしときましょう。
それより、もう一つの方を考えよう。やたらはっきりしてる目的についてだ。訊けば分かることかもだけど、まだ起きないみたいだし。暇つぶしに自分の答えを用意してみるか。
まず、自立魔力の証言ね。「この者の願いし普遍、叶えることを誓う」だったか。
うん、溺れたやつの願望じゃないわ。最初から普遍を叶えるつもりで落ちたんだ。よし、おしまい。
……
……
……いけないいけない。気を抜くと石のことを考えてしまう。続けないと。えっと、インは落ちたときはパニック状態じゃなく、普遍を願う為に落ちて冷静だったと。
じゃあ最後、魔術の痕跡って何だ。こんな時こそ状態検査だが、あれは魔法メインでデータが揃っているから魔術に効くかは怪しい。私自身の知識でも、魔法じゃなくて魔術、しかも痕跡だけじゃ元々の効果は分からない。魔術ってまだ文書に残ってないような魔法の総称なのよ。動かない大図書館に聞くのは酷ってもんよ。
じゃあ、やっぱり訊くのが一番ね……
……
……
……3. 141592653589793238462643383279502884197169399375105820974944592307816406286208998628034825342117
願望は混ざり合う。
自分の上を見たことに恍惚とする心。
それで蕩けた顔を見せたくない一抹の乙女。
思考を数字で上書きする口。
「067982148086513282306647093844609550582231725359408128481117450284102701938521105559644622948954930381964428810975665933」
「……むにゃ……ん、っ!? パチュリーが壊れてる! 何もしてないのに!」
「これはいけません! フランドール様、もう一度! 魔力を私に!」
「良いですとも!」
「何かしてるじゃないの。じゃなくて、落ち着きなさい。起きただけ……よね? 凄い顔だけど」
「72458700660631558817488ォ……520920962829 25409171536ゥゥ……!」
願望は混ざり合う。
どう転んでも、乙女は死んでいた。
檜の清香、幽かに。
「……おはよう」
風通しの良い和室には、畳で反射した夏の陽光が満ちていた。
「おはよう、パチェ。一発殴らせて」
それを巧妙に回避して座るレミィ。
「……ツケで」
「ずるいよお姉さま! じゃあ私は十発!」
その隣に寝転がるフランドール。
「……消し飛ぶから、ツケで」
「私はその後に撫でてあげたいです!」
「……キャラ変わった?」
そしてその近くで倒れてるコア。その悪魔三人と、私。魔法使いが一人。
畳に障子、フリルとベスト。合わないな、とか。鎌倉時代なら纏めて鬼扱いだろうな、とか。畳にべたーっと伸びてるフランドールに何も言わないレミィなんて珍しいな、なんて。どうでもいい事をぐるぐる頭で回していると、記憶の靄も巻き取られていくわけで。
一度ぱっ、と靄が晴れたら、すっ、と指先まで冷たくなる気がしたので火魔ほ……待て、私。普通に平常心で落ち着いて考えろ。インは? 盗撮映像は? 今日の私、どれだけ他人に世話かけた? というか今日って今日? ここはどこで私はパチュリー?
「……聞きたいことは、何から聞けばいいのかしら?」
「いや知らんよ。好きにしろ」
思わず誰かを頼りたくなったが、レミィに一蹴される。少しくらい頼らせてくれよと思ったが、そもそも先に頼らなかったのはこっちであることを思い出した。イマジネーション、ワン。レミィの立場。親友がなんか朝っぱらからぶっ倒れ、起きたところに自分の部下が追撃し、起きたところへ小悪魔二、三人と魔理沙を通しつかの間の休息を与えると、突然病み上がりに客観的に無理な真似をしてそのことは全く伝えられず……
……うん。
「…………心配、かけたわね。ごめんなさい」
「……全くだ。パチェ、お前は自分が誰だかすぐ忘れてしまう。お前は偉大なる紅き吸血鬼の寵愛を受けた魔法使いだ。何を恐れることがあるのかしら?」
「フランドール様……ゴニョゴニョ」
「その『体裁』をドッカン。こうね」
「オラァ!」
「えっ」
おまっ!! 『ダイヤモンドハードネス』! あっ、ちょ、そんなに力込めたら流石に貫通する! 死ぬ! 吸血鬼の本気パンチは死ぬ!
「心配! したんだから! ほんっと!! いくら!! 信頼してても!! 倒れてるお前を見て!! 心配しないわけ!! ないでしょうが!!!」
「それっ……は! 本当に……悪かったから! 私が! だから……っちょ、ちょっ待っ、割れる! ヒビ入ってる! 話し合いましょう! ねっ!」
落ち着け私! 『ダイヤモンドハードネス』は必ず一撃耐える! レミィが一発って決めた以上、絶対に二発目は来ない! 焦る理由はない、私の魔法を信じろ!
いやでもレミィだぞ! そういうの関係なく打ち抜いてきそうだな! 夜の王とか名乗ってるくせにたまに半端なく脳筋なとこあるし! 乗馬のコツ聞いたら「まずは戦って上を決めることね」とか言い出したの覚えてるからな! あっ、マズい、考えたら不安になってきた!
「私はお前から沢山貰ってるし、沢山借りてるんだ! 少しくらい取り立てに来てみなさいよ! 何よ、私が怖いの? 七曜の魔女だなんて言われてもただの腰抜けなのかしら!?」
「それとこれとは……関係ないわ! そもそも……貸しとか! 考えてないし! 今回は! 純粋に……」
そこまで言って、言葉に詰まる。
確かに、私は今回レミィを頼ってない。それは頼るような脅威だとまるで認識していなかったというのが九割五分で、認識したあとも記憶が吹き飛ばされるあの攻防に混ぜるのは気が引けたというのが五分だった。
けれど、今考え直すと。
攻防に混ぜることに、何故引け目があったのか問い直すと。
それは――
「知ってるわよ! 魔法戦に私が居ても、邪魔だって言うんでしょ!」
「…………」
魔法の撃ち合い。すなわち魔法戦とは、どれだけ知っているかの戦いだ。
相手の使う魔法がなんの組み合わせで、それぞれどんな弱点が有り、どのようにそれを克服していて、その結果新たに生まれる弱点は何なのか。それを戦いながら、紐解き、また編み出していかねばならない。
「私の使う術が、どれだけ魔法に近くても! 私は魔法使いじゃない!
だったら魔女に全部任せるのが効率がいいとか!
それはレミィの得意とする、妖力と機転の殴り合いとは違う。どれだけ意表を突いても、からくりを解かない限りは全く効かない。妖怪という種の力は、魔界の法の前では所詮、ただの些細な違いだから。
だから、私は呼ばなかった。
私は、私以外を守る余裕まで、持ち合わせていなかったから。
「
私の力なら、あんな危険な魔法の撃ち合いも必要なかった!
あんたは、積み重ねた努力そのものに喜びを感じるの? 違うでしょう!? 努力して! 発展させる事に! 意味があるんでしょうが!
レミリアはどこまで知っていた、段階
- パチュリーの性格、生死より魔法
- インの状態、認識歪曲が刺さってる
- 自分が魔法戦に割り込んでも足手まといなこと
- 自分も割と魔法使ってるし大体同じだろ
- 未来視で一回目倒れた時から見とったけどこれ介入したらめちゃくちゃキレられるやつだ
- 介入しないとこいつ死ぬぞ
- そもそもタイムストッパー咲夜と未来視レミリアがそろってるせいで大騒ぎの時に駆け付けない理由がないぞ
- 介入で忙しかったのでは?
「言い訳的よね、どいつも、こいつもさ。だから私が壊してやらないといけない」
「……わたくしに言われましても」
「お前だから言うのさ、コア。秘密は絶対ばらさない。だって、お前も秘密をばらされたくないからね」
「ななな、なーんのことでしょーねー。盗撮映像はパチュリー様がしっかり保存してますし私が吐くわけないじゃないですかー」
「コーヒー」
「……フランドール様。その名前は、重くありませんか?」
「あははは! ほんと楽しいわね、貴女。ねぇ、コア。フランって呼んでよ。二人っきりの時だけでいいからさ」
「ご勘弁を……わたくし、ただの小悪魔ですよ。吸血鬼様を呼びつけにするなど、とてもとても」
「ふうん? そうかしら。私にとっては特別よ?」
「それは餞別になりかねないのでちょっと……」
「仕方ないわね。ぱーちゅーりー、この子気に入ったわ。私に頂戴」
「私のほうが怒る理由はあるわ。お姉さまみたいに、魔法のド素人ってわけじゃないのよ。全部ぶっ壊すことだってできたわ。
今のは私が悪いな。自分で整理しましょう。寝っぱなし魔女から寝起き魔女にランクアップした私の頭脳よ唸るがいいよ。
「あー……今日は何曜日」
「第三金曜日です!」
「ここはどこ」
「永遠亭!」
……やっぱ唸らなくていいよ。確か、倒れたときの曜日は月曜日。それも《《第一》》だったわよね。寝てる間にちょっとした本なら400冊は読める時間が過ぎたってことよね。知りたかったけど知りたくなかったわ。
「インは……私の近くに倒れてた小悪魔は」
――三人とも、目をそらす。
Y担当、イン。銀の河に落ちて以来銀髪になった、普通の小悪魔。魔術の痕跡をびっしり纏っても気付かれなかった、認識歪曲と自立魔力憑きの図書館司……何だこの既視感。いいや、過去のインは重要じゃないのよ。今よ。
そうよ、その視線の先にいる、銀髪の小悪魔についてよ。
「ぁ……」
おはよう」
。
「……八意……永琳?」
あっ、いや二つあるわね。形容詞の話。あれ本当なのかしら、聞いてみようかな。
「今日が何日か、わかるかしら」
「月曜日」
「……ああ、そういう魔女だったわね。今日は第三金曜日。卯の刻よ」
「えっ」
ちょ、えっ。五日? 私五日も寝てたの? 時間にして120時間? 秒にして432000秒? 本一冊に十五分かけるとして480冊分が今消えた?
……
「あなた、担当医に感謝しておくことね。運び込まれたあなたを見て、すぐさま私に連絡したそうよ。『手に負えない』って」
「……参考までに聞きたいけど。どんな状態?」
「呪いを魔力の流れだけで弾いてる状態」
「あら、アリス。久し振りね」
「記憶は……後回しね。現状をまとめるわよ。あなたの担当医が私に仕事を回しました」
「うん」
「私は
本作品はここで打ち切りになります。
理由は設定を増やしすぎたのと、小悪魔の設定を凝りすぎて東方でやる意味なくねってなったのと、初期パチュリーさんの口調が再現できないのとの三つです。
設定が増えた原因は「序盤だから重苦しい話はガンガンスキップしよう」と考えたことでした。結果打ち切り感漂う急展開になり、その全てを聡明なパチュリーさんが考察し始めるせいで設定がガンガン増えました。やっぱ主人公は適度に考えないタイプじゃないと回せません。
設定を凝ったのはプロット代わりにするためです。私は遅筆なので、じゃあ何を書くかざっくり決めれば早くなるんじゃないかと。おかげで着地点は定まっていましたが、離陸で座礁したので関係ありませんでした。
口調は普通に忘れました。何でこの人一言喋るたびにネタを挟めるの?
ただ打ち切りにはなりますが、幻想郷は大体同じ設定を使いまわしているので、いつか私の作品でクールなパチュリーさんを見かけたら「でもこいつ心中あんなんなんだよな」と思えばほぼ正解です。
しかし小悪魔は凝りすぎたのでほぼ没になります。以降はコアくらいしか出てこないことでしょう。特にGとかIとかLとかXとか絶対没。
ただ、没にしたままなのも忍びないので、この後は没になった小悪魔たちの設定の一部を書いています。そのあとは何もないので、気になった人だけどうぞ。
ここまで見てくださってありがとうございました。
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「ああ、あの本だね!少し待っててくださいねー…」
ゼン︙Z担当。多分男の癒やし枠。現在妖精メイドと交際中。
ヴィナが師匠。コアは先輩。見た目と優しさでたまに本を借りに来る方々に人気。
「ええ、インですが、どうなさいましたか」
「えぇ!このイン、パチュリー様のためなら何なりと!」
イン︙Y担当。銀髪枠。呪いが遠見をサポートしてなかったせいで解呪された。
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「気負う事実は須要ではない。貴女は沖融と平然同等の力量を白日の下に晒せばよい」
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まともに頼れる大人小悪魔四天王の一人。ヴィナ、タス、シン、エリス。
「せやろか?まあ魔界にも派閥やらぎょーさんあるさかいなあ」
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アンは弟子、コアは後輩、フィスを抑えている。頭からは羽じゃなく角が生えてる。
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「だっはっはっは!ほんと面白い!こんな醜く取り争うとか!」
パイ︙P担当。枠を売る枠。この座を巡って魔界トーナメントになる。
ぼっち。魔界神のお付きに通用するほどプレゼンが上手い。
「これもまた小さな一歩になるのでしょう」
ロン︙O担当。命名犠牲者2。実家からの刺客枠。たまには帰ってこいや。
リノを更生させようとしている。メトとは宗教戦争をしている。魔理沙が憧れ。
「そうなんです、最近魔界はキナくせーんですぜ」
ノイ︙N担当。情報屋枠。魔界の会社のお茶くみを兼業。
ユナはその会社の令嬢。自由に現世に行けるようになってから初めて現世に行った魔界人の称号を持つ。
「赤は偉大! 赤は最高! 赤教よ永遠なれ!」
メト︙M担当。赤枠。好きな言葉は真っ赤な嘘。好きな赤は静脈血の赤。
ぼっち2。身体に流れるのはヘモシアニン。だからやたらと傷つくのを恐れる。
「ふふ、夫から手紙が来たんですよ〜。デートもいいですけど、文通もありですね〜。」
エル︙L担当。天使枠。夫が魔界にいる上、一児(自立済み)の母。
シンとかとよく一緒に飲みに行く。悪魔だけど天使みたいな羽。
「僕達の邪魔をしないでほしいのさ」
「あとできっちり戻しますからな?」
「二人といるのは楽しい」
ジル、キリ、イリー︙J、K、I担当。黒幕枠。緑なのがジル。青いのがキリ。白いのがイリー。三人合わせてジョークキラー。
定期的に誰かを殺しては、何事もなかったように元に戻す。彼らにとっては非常に良い娯楽らしい。元に戻せないと「叱られる」と焦りだす。遊んだあとの後片付け感覚。
昔ある悪魔を河に突っ込んだときはどうしても戻せなかった。純粋賢者の石には流石に勝てない。なんとか中毒症状による死の淵からは蘇らせたが。仕方なく戻せる可能性のあるパチュリー家の図書館に自分たちもろとも移送する。彼女たちも戻すために知識を蓄えてたり、試しては戻したりしていたらしい。
ジルが舞台配置、キリが実行犯、イリーが回帰役。パチュリー曰く「ローカライズ版鎌鼬」。
「152,438,13,13896。単位をmに、原点を渾天儀にとるならこうっす」
イタ︙H担当。命名犠牲者ラスト。空間認識チート。
ヴィナの弟子。ちょっとネタ切れしてた。
「OK、OK。こっちからのお願いはただ一つ。ここから先は不干渉。良いかね」
ジェノ︙G担当。女装爺枠。ヴィナが掘り抜けた図書館から旧都への直通ルートを改装し、テラスにするよう交渉。これで小銭を稼いでいた。
アンの実父。ちなみにこのルート、空間的には旧都に出るより前に湖に出る。
「自分がいつも、いつまでも正義だなんて思ったのかしら?」
フィス︙F担当。ガチ悪魔枠2。本来望んでいたものを忘れさせるほど心に別の物を詰め込んで幸せにする悪魔。
みんな幸せ。でもパチュリーさんは何詰め込んでも魔法に帰結するから諦める。
「いや、別に何も強制されてないけど……。何かあったの?」
エリス︙E担当。お前何やってんの枠2。サリエルに釣り合うだけの部下になるために修行しに来た。
ヴィナと知り合い。魔界トーナメント審判のバイトを兼業。
「虫は死ね。……あ、おはようございまし、ノーレッジ様」
デイ︙D担当。ツンデレ枠2。通称バグ殺しのディート。
リノと同族嫌悪。魔法におけるバグも弾いて無理やり正常に動かせる。
「さささ、どーぞどーぞ! 今日のコーヒーは(魔術に)自信があるんですよ!」
コア︙C担当。いつもの枠。パチュリーの側近(自称)。
計算系の本ばかりが並ぶ自分の書架はあまり好きじゃない。だから書架はクーに押しつけ、他のことを主にやっている。他の小悪魔たちの現状把握とか。だからといってCのどこになんの本があるか知らないわけではないが。パチュリーに会いに来たときに見かけるのはだいたいこいつ。最近の流行りはコーヒーにバレない程度に大規模魔術をかけること。魔法ではない。詳細は悪魔的秘密。
大概なレベルで臆病。口達者なのは自分の弱さを隠すため。コーヒーにかけている魔術は頼りない自分の代わりに頼れる主を作り出すため、ほんの少しだけ飲んだ者へ自分の魔力を分け与えるもの。ただし蓄積する。なお、なまなかな主だと魔力中毒起こして死ぬ。
これもディゾルブスペルでぶっ壊れたのだが、何ら変わりなく動くパチュリーにひっそり安堵していた。どうやら伸ばした最大値までは元に戻らなかった模様。
「ひっ! い、いや、そんなことはないと思いますぅ……」
ベル︙B担当。小動物枠。迷える図書館利用者に助言を囁く。
アンの補佐。あまりに目立たないので、見つけた人には幸運が訪れるとされている。
「排除。完璧! では帰ろうか、帰りましょー」
アン︙A担当。週刊英雄枠。
魔本は置いておくだけで周囲に特有の魔力を漂わせる。そして週に一体ペースで魔力が混ざりあって魔物が生まれる。これを異界に飛ばしたうえで瞬殺しているのがアン。
しかしここは紅魔の図書館。時折とてつもなく強い奴が出てくるわけで――というのが最終着地点だった。
脳筋。逆刃の鎌を愛用する。