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平行世界を認め、自在に操れるようになった時代。

あらゆる人間は幽霊になった。
ただそこにいる、それだけが分かるようになった。

教室でだけは共有世界

いくら拒否しても、周りの人間はどんどんその世界にのめり込んでいく。資源は無限、気に入らない人間は非表示できる。倫理を抜きにすれば、それはとてつもなく魅力的だった。

傷ついた身体のままでいることなど、不都合だ。
人はそれをすぐに治せるし、故にそれに合わせた製品とかもない。
誰もが健常な身体を持っているから、傷ついた身体など誰にも合わせて作っていない。
たとえ傷を認めたとしても、自分が何かをするときは元の体に戻す。義手や義足の延長だ。その方が便利だ。だから、誰も文句は言わなかった。何なら自分から手足を吹き飛ばすことだってできるのだから。

では、彼女は?
なぜ、あんな姿で居るのか?

こえを、きいて。