up:: 蓬莱人形フランドール説第一稿第六話

縁切り儀式後の話……それなら修行も終わってそうだな
修行スタート→9,10→縁切り儀式→11,12→帰ってきて13

今回は縁切り儀式のとこで

 それからはすぐだった。あれだけ迷っていた森は紫の助けであっさりと抜け、今では境内からほんの少し見える景色でしかない。
ボクはこの楽園の端にあるという神社で学び、弾の撃ち方や空の飛び方を習った。まるで最初から出来たみたいに身体に馴染んだ。その神社にはボクと同じく習っている巫女がいたが、すぐに追い越した。彼女はいつもむくれ顔をしていた。

 修行を始めてからというもの、紫の顔は見なくなった。同期の巫女によると、いつもこんな感じらしい。三日ほどボクに付いてきてくれたことを話すととても驚いていた。そういうとこあるんだ、意外と彼女は言った。詳細は紫に言われた通り黙っていた。

 ある日、久しぶりに紫の顔を見た。

「うわぁ! 出た! 退散!」
「久々ね、レ……痛っ、痛い! 貴女もずいぶん成長した……いたた!」
「よし行け、橙! あいつを止めてこい!」
「みこちゃん久しぶり! 遊ぼっ!」

「それで何の用なの? 修行ならちゃんとしてるわよ」
「ちょっと! ちゃんとこっち見てよ!」

「橙が片手間で……確かにそうみたいだな。だが、用事があるのはレンだ。お前はそっちで遊んでなさい」
「……ふーん」

 ぼこぼこ

「本題から始めましょうか。あなたに退治してもらいたい妖怪がついに見つかったのよ」
「普通の退治をするって話じゃなかったかい」
「そのつもりだったわ。けれど、これは貴方も退治したいでしょうと、そう思ってね」

「紅魔館の主、スカーレット卿。あなた達を操っていた吸血鬼よ」

「元々奇妙だったわ。あなた達が一体、どうやって境界の綻びを見つけたのか。あの桜の下の道はそう簡単に見つかる場所じゃない。最初はあのサグリって子の好奇心がたまたま見つけたんだと思っていた」

「サグリは無謀にも一人で出かけ、ドウは無策にも一人になった。そしてメイは一人で暗闇で考え続けた。インを私は見逃した」

「正直村に罪はない。けれど、害があった。運命操作よ」

「退治に乗り気なようで何よりですが……ひとつ、やらなければならない事があります」

「正直村、及び私達との断絶」

「相手は運命操作、それも間接的にすら私を操れるほどの大物だわ」

「あなたは操られていない。そして今後も、操られない。博麗の巫女の力とはそういうものですわ。だからあなた一人に頼みたいの」

「もしも私達が操作されて、間接的にでも貴方の邪魔をするようなら。その対策をするなら、すでに操られた相手とは完全に縁を切るのが最善ですわ」

「縁は切っても、貴方が死なないよう、緊急脱出はさせてあげるわ。たったの一度をね。それにこれが終われば、あなたには自由を与えるわ」

よく考えれば、なんも対策せずに行けば新しく運命操作されて終了する。運命操作の仕様がわからないのが逆に響いてきた。
運命操作が何度も出来ないレアなら、こんな奴等よりもっと生きて帰れそうなやついるだろ。聡明がそれだけ聡明だったのか。それなら聡明だけはなんとしても生かすべきでは。仲間内から殺されることを想定していない運命操作? でも最初三人は妖怪が殺したはずだし……

たしか最初は、情報持ち帰ってきたって思ったから特に荒事は起こさず出てきたはずだ。でも戦闘開始時に速攻で運命操り直せばそれで済む話だろうし。

まさかの運命操作してない説。せいぜいがチャーム。でもそれならがっちりばっちり縁切りする理由がないわけで。やっぱり縁切り以上の何かで来てないか、これ。

やっぱり退治されごっこを始めた場合。別にいいんだけど抵抗してるのが引っかかるのだ……

 だからその日、紫がやって来た時は沢山話をしたんだ。

体に馴染むのが不思議だ。それはあなたが博麗の力を譲られたから。前の巫女のことはなんと言っているんだ。妖怪退治で亡くなることは珍しくもないわ。残った四人はどうなった。そう言うと、紫は言い難そうに押し黙った。

「代わりに説明いたしましょうか」

藍の申し出を遮り、紫は口を開いた。全員死んだ。一人が一人の死体で罠を張り、妖怪を退けた。けれどその後疑心暗鬼に陥り、互いに殺し合い、最後はインが自殺したらしい。

そうか、と切って話を続ける。それならボクがそろそろ出る時間なんだな。

「やっぱり感慨は無いのね」
「何にさ」
「インよ。貴方が助けたのに、結局自殺したんですから」
「妖怪はもういないんだろう。だったら助ける意味が無い」
「合理的だわ。貴方、本当は紅魔館の式神なんじゃないの」
「紅魔館?」

ボクの疑問には藍が応えた。裏でボクたちを操っていた組織の使っている建物の名らしい。組織の長はスカーレット。能力は運命を操ること。これでボクたちの運命を捻じ曲げ、この楽園に至るように仕向けたのだという。これはとてつもなく強力で、途中で紫が平然とインを逃がしかけたのはこれに巻き込まれたからではないか、という考察がメイの文書に書かれていたらしい。決定的な証拠は掴めなかったが、その後の調査でかなりその確率が高いことが分かってきた。私が頑張ったのだ、と藍が胸を張っていた。

「それだと、ボクもその能力にかかってるのかい」
「いいえ。それは無いわ」
「お前は博麗の巫女の力を、偶然にか手に入れた。その能力は空を飛ぶ力。あらゆる一切の干渉を跳ね除ける魔除けの力だ」
「おかげであなたにかかっている運命操作は、あなたをすり抜け解かれた。だから運命操作への発見が遅れたとも言うけれど」

これ言っていいの? 相手は火薬庫だぞ、

「けれど、おかげで紅魔館に罠を仕掛けられる。いいことのほうがずっと大きいわ」

「そもそも、どうしてこの楽園を目指させたんだい? 一面森と神社だけで、観光には向いていないようだけど」
「言うわね。正確には分かってないけれど……情報を持ち帰る為、だったと考えられるわ。何せ紅魔館があるのはフランス。単純な距離もさることながら、吸血鬼である彼は海を越えるのが難しい。私なら、一度偵察を放って調査をさせるわね。実際、貴方達はこのあとフランスに向かう予定があったんじゃないかしら?」
「フランスってどこだい?」
「北西よ」
「雑すぎませんか紫様?」
「一度上海に帰るつもりではあったから、方角は合ってるね」
「それもう言いがかりですよ」

「……調査の最中、メイの日記らしき文書を発見しました。欧州に向かう予定があったようです」

「さて。これだけ詳しく言ってるわけだけど」

「読めたよ。ボクに頼む仕事に関連してるんだ」
「そういうことですとも」

「この紅魔館に打撃を与えてもらう。それが貴方に頼む仕事ですわ」

「もはや貴方の他に、情報を伝えられる人間は居ない。スカーレットは貴方を帰還させたがるでしょうね。そこから突き崩すのよ」

「貴方も苛ついたでしょう? 自由意志を奪われ、誰かに操作されたんだから」
「いや、何とも思わなかったけれど」
「……藍」

「お前に行く理由が無くとも、お前は行くことを望まれている。これを見ろ」

インの遺書
君がいないこの世界に意味はない
願わくは、どうか、どうか
君が、自由に生きること。それだけだったのに

「我々がやるという手もある。紫様へ危害を加えたのだから、奴にかける情けはもう無い。だが、願われているのは貴様だ。紫様はそれを尊重なさっているのだよ」

「……そうか。スカーレットっていうのは、これを書かせるほどの相手なんだ」

「え?」

「。

午後
臆病、毒の用意完成
相談せずに全員に飲ませ、全身毒化
臆病なので自分一人はできないし、自分だけ飲まずしてバレない自信もない
それがとてつもなく愚かしい行為でも、聡明な彼が死んだ今これしか思いつかない
若干ヤケ、まあ思いびと死んでるし
大人びた、毒が適合せず死亡
妖怪、大人びたが毒で死んだのを見る
やっぱ嵌める気だったんだとなり、全員逃走
普通に襲いかかれば殺せるんだが、恐怖刻まれちゃったかな
その時点で妖怪としてはもうオシマイだろうが
美しいはこの毒死亡が誰の手によるものか理解してなさそう
みんな何故か解散しちゃったので、自分たちだけで遊ぶことにする
今度は退治されごっこスタート
警戒心、大人びたの死体のみ目撃、部屋に閉じこもる
美しいが殺すために部屋にすでに潜伏、捕まえて木まで引きずり眉間釘
分かりやすく木に打ち付けてるのは、そうしないと退治対象が誰かわかんないから
こんな雑な方法は元の警戒心だったら抵抗できた、今は毒効いてるのでちょっと。
しれっと頭蓋骨ぶち抜いて釘を打ち込んでる
盛られた後に勘付いて逆に盛った毒、臆病が復活。
警戒心、眉間に釘で殺害
臆病、朝食の準備、早起き用に意識朦朧の薬を盛る
一日で切れちゃう……という不安
インタールードは毒を盛るときに自分を正当化するための言葉

四日目
早起き、朝食に盛られる
早起き、首刈られる
美しいがやる
実践の時間、ここまで何もしなかったのは美食家にやられた分のダメージを回復するため
臆病、気がつく
屋敷内探索、三つの死体発見
首を食われてる、毒作戦失敗
ショックと警戒心からの毒で正気に戻る
状況を把握、大人びたが全ての原因であると誤解
思いびとがいない世界に絶望し自殺
運命操作をぶち抜いたのは自殺

いろいろ首を食べてみようとしたが、固くて無理だったので全部は諦め
戻ってみれば臆病が死んでる
ポケットに思い人の写真、それを見てからはボクじゃなく僕へ
行く場所なく、とりあえず先代巫女のツテをたどって博麗神社へ

美しい、博麗神社へ
何も知らない巫女を見て美しい、大笑い。
美しい、楽園を脱出

人間が八人減った上、七人の人間は持って行かれた
なお何も知らない妖怪がこの人間食べて何人か中毒者が出た

それ以上に、博麗でもないただの人間が妖怪ぶん殴ってたことのほうがよっぽどニュース。

神社見てた紫がエントリー、藍に頼んで家宅捜索、手記を発見
出ていった美しいを追いかけて手記を持たせ、紅魔館へ送る