ミッションⅠ:
ミッションⅡ:
ミッションⅢ:
それは陽炎揺らめく夏の真昼間、南高北低の気圧配置。
少し多めの朝露が、未だにレンガを色づかす。
その隙間でそれはちょいちょいと、黒から黒へ飛び移る。
見目は爪すら麗しく、しかして目には光なく。
黒の小袖を黄紐で結い、青の法被を羽織った幼子。
https://www.dcm-hc.co.jp/kurashimade/c_useful/20200917110159.html
140cm、34kg。
「よよいっと。んはー、朝は生存者ゼロ名!」
「ほんと、ぜーんぜん外に人が居ないやぁ。こんなに探してるのにさ。中に入ろうにも入り口も出口も見つかんないしさ、窓はあるのに穴がなくてさ。私のパワーじゃ壊せないし……」
「さー、ここからどう逆転するかなー! 折角だし、プレミア公開用にアンケとっといちゃうかー。結果が見れないのが残念だぜ」
「せーめーて、クラウドだけでも復活すればなぁ。容量はたんまりあるけど、ライフログとなるといつぶっ飛ぶもんだか。あー、例えばこのレンガ一個一個ドライブだったりしたらなー。いや待てよ? やれるか?」
「しゅっしゅっしゅー。スップレースップレー。お、なかなか良いのできたんでない。んでもちょっと繊細すぎかな? 明日には壊れてそー。まいっか記念にいちまーい。へーい未来のみんな見てるー? この作品のもとはこんなんだよ〜。良い感じに直して、ついでにドライ部分に気づいてくれたらラッキーだよの」
「よっし、ひと仕事おーわり。何してたっけ? ああそうだ、入り口入り口。どれどれおかしいな? こんなスプレーまみれにしたのに、中に染み込む様子もないぞ? そいや塗料の食いつきが悪かったなぁ。ふーむ、この辺から崩せるかな」
「
「世の中は秩序がいかにして混沌を受け入れるかだ。私だって
「なんだって……あんただけ歩いてんの?」
「たっはー! ファウちゃんだ! お久ー」
「おひさ。いやそっか、むしろあんただけいる方が……生存確率は高そうね」
「んー? なんだい自然の話? いいぜ付き合うよぉ。天気だって自然の一部なんだから、自然の話だってオーソドックスだよね」
「時々あなたのこと、よく分からなくなるわ」
ぺた、ざり、ざざ、ぺしゃ。
アクセントに始まり、資材不足に喘いだその黒タイルの旅は、一面のコンクリートの前に幕を閉じた。襷を渡された彼らは
蓄熱レンガが立ち並び、裏通りには冷気が流れ込む。。