「……レイアよ。レイア・ケルメス。わかった!?」

「あ、おはようございます、レ」
 「レイア」
 「ふえ?」
 「今日はレイアよ。あと呼び捨てで。はいもう一回」
 「え?っと、おはようございます、レイア。今日は一段と眼光鋭く、凛々しいお顔ですねー。」
 「ふふん。よろしい。」
 「まるで狛犬のようですー。」
 「……それは褒めてるのか、それとも分かったうえで言ってるのか。まあいいわ」

レイアちゃんはそういって、どっかと椅子に座った。あれ、レイアちゃんは何もしないのかな?さっき知り合ったばかりとはいえ、友達を差し置いて一人だけアピールするのは良くない。ここは勇気をだして……!
 「あ、あの!レイアちゃんにも仕事を与えてください!」
 「何?」
 「えっ」
 「あらら?」
 「僕、思うんです!レイアちゃんは」

 「そういえば自己紹介がまだだったな!私の名前はワンドット!貴様ら新入メイドたちを指導する特殊百番の教官だ!また後で壇上で同じことを話すがよろしくな!」
 「は、はい!457862です!よろしくお願いします!」
 「良い返事だ!そしてさっきいた、これくらいの背のあいつがシーア!のんびりとしているが十二番の実力者だ!絶対に怒らせるなよ!」
 「はいぃ!しっかり覚えておきます!」
 「……」
 庭を出て行ってから、僕達は未だに走り続けていた。大分走ったような気がするのに、どうしてまだ端っこが見えないんだろう?僕もう、そろそろ、限界……
 「……」
 「ところでそこの青髪の貴様!何か疑問有りげな顔をしているな!遠慮せずに言ってみるがいい!加点方式だから減点はしないぞ!」
 「……そうだな、これはどこに向かっている?」
 「良い質問だ!わからん!」
 「よし、歯を食いしばれ」
 「ふんぬがぁ!」

「うぐ。……実は不審者に受験票をスられちゃっ……いまして。番号も覚えていないの……です」
 「なんだと!ならば致し方ないな!空き番号に適当に振り分けてやろう!ただしその代わり、貴様も会場の設営を手伝うがいい!いいな!」
 「ありがとう。恩に着ます」
 「よし!では行くぞ、二人とも!私の後に続けーっ!」
 「は、はいいーっ!」
 「……チョロいな。大丈夫か?」
 三人に増えた僕達は、そのまま勢い良く会場から駆け出ていった。
 
 「……テーブルも椅子もパラソルも、全部揃ってるんですけれどもー。何しに行くんですかー、ちょっとー」

「たわけ!今回の受験者に名のあるものはおらん!やはり貴様!」