up:: Nue_Houjuu
up:: Ultia

何かきっかけがあったわけじゃない。
私たちは薄く、淡く広がって、いつしか常識になった。恐怖じゃなくなった。

……それ以上は知らないわ。本当に、いつの間にか誰も「幻想郷」を口にしなくなったんだもの。
忘れたわけじゃなくて、聞かれたら思い出す。けれど普段は何も気にしない。

誰一人、引き金を引かなくなっただけ。

それでも私の力は衰えない。誰かに未知がある限り、私は力を失わないのよ。
生きてるなら、生きればいい。死ぬ理由なんて特にないんだから。

だからこの話は何も始まらない。
私の他には、誰も生きていないから。

楽天主義と楽観主義は別だ。