運命的にあと3日で死ぬけど、精神は元気そのものな咲夜

レミリアとの会話、今度の宴会

届いてた手紙を置いて出るレミリア

咲夜、手紙を読む

『フランドールは、私の実の妹じゃない』

過去

スカーレット家の風景

ある日の食事

転居の話

お腹の子供のために、吸血鬼狩りから一時撤退

幻想郷という楽園がある

お父様らしくもないわ

家族を護る強さだ

友達がいたレミリア

偵察の話

昔運命を繋いだ盗賊団

体のいい偵察隊として遠隔操作

友達と喧嘩したレミリア

父に転居したくないと言い放つ

諭す母親

成功の話

一人だけだが生き残った

こちらに今呼んでいる

友達と仲直りしに行ったレミリア

私達は最後でいい、いつでも仲直りはできる

そうやって意地張るんだから、もう。

仲直り、したの。できたのよ。
だから、ね。お父様。わたし、

ああ。こないだのことは許そう。

だが。

その糸の絡み方。

お前、その友達を眷属にしたな?

莫迦者! 眷属がどのような物か解っているのか!
主のために、命すら擲つ存在!
未熟なお前にはまだ早い!

お父様のわからずや!

本当は失敗して、誰も生き残ってないはずだった
なのにやってくる最後の一人。

何が起きているんだろう。
お父様も、お母様も、床に倒れている。
見覚えのあるブロンドの人間が、近くでずっと笑っている。

ずっと。
笑っている。

吸血鬼は滅多に仲間の血を啜らない。どうしてか? 汚いから? 賤しいから? 気が咎めるから? 今更になって。

違う、彼ら彼女らは血の扱いに長けてしまったからだ。
ただ栄養を運び、老廃物を流す水じゃない。
永い時の中で、脳以外の記憶バックアップとして選んだ。
吸血鬼は知っている! 同族が、どれほど血に記憶を刻んでいるか!
吸血鬼は知っている! 自分が、そんな血を飲めばどうなるのか! ただのコピーじゃない、痛みも苦しみも願いも思いも喜びも悲しみも怒りも憎しみもすべて! その始めから、味わうことになるのだと!
そんな事! ……人間は知りもしない、吸血鬼の血を飲みでもしない限り、知り得ることなどありえない。そんな気違いの人間など、居るはずなかったのに!

人間は知らない?
血を飲みでもしないと?
……私、は。あの子を、眷属にするとき、何を……した。

見様見真似で、やり方を自分で調べて。
血を、飲ませたんじゃないか。 

眷属は吸血鬼の魅了能力とかじゃない
ただただ記憶を全て見て、生き様に惚れてついてきている

あはははは! こんな肉片を大事に抱えてたんだ!

お母様は知っていたようね……彼女の力も、その恐ろしさも、その賢さも!

全て悟って死んだんだ、生まれる前から、自分が何よりもの恐怖になるって知ってしまって!

だから、自分で自分を破壊したんだ……! さぞかし楽に逝けただろうね!

さん、にん、ぶん……わた、し……吸血鬼、に、なった……!

さあ……! レミリア様、血を……!
私に、忘れられない記憶を下さいまし……!

(天井を破って襲いかかる美鈴)
……

君の父はいつでも冷静な僕を求めた。だからここで取り乱したりすれば、君の父に笑われてしまう。

私は近々死ぬ。だから、お前に私の娘を託したい。頼めるか、ノーレッジ。

死ぬ覚悟があるなら、こんな細腕の拳くらい痛くも何ともないだろう。
どうしてなんだ、スカーレット。運命を変えろよ。お前はそんな吸血鬼だったじゃないか。

逆だよ、ノーレッジ。運命は変えた。幾千幾万幾億、あらゆる可能性を探った。それでも生き残れるのは、どちらか一人だけだった。レミリアとフランドール、二人を生き残らせることもできない。

私達二人は、レミリアを選んだ。

君は、いや。君たちはわからずやだ。自分たちだけ納得して事を始めようだなんて。
レミリア君はまだ何も知らない。

レミリアは未熟だ。妹の代わりに生き残ったなんて、そんな重責を負わせるには若すぎる。言っておいてくれ。お前のせいではないと。

痛かったよ。

運命とは空っぽだ。
その中を埋めるのは、ノーレッジ。お前なんだよ。

僕は近々、国に帰らなければならない。
図書館を整理しろとせっつかれていてね。
その前に。

君の父親は僕の友人だ。
誰が殺したのか知りたい。

レミリア君。その子は誰だ?

そうなのか、美鈴君。

駄目っ!

どうしてだ、レミリア君。

君の父親の仇だ。僕が討つ理由もある。
どうして止めるんだ。

理由は言わない、けれどそれだけは駄目、絶対に駄目。そうするって言うなら、私はあなたを敵に回すわ。あなたを殺してでも止めてみせる。冗談じゃないわよ、ノーレッジ卿。その時は、今後一切スカーレット家に関わらないと約束するまで、私はあなたを許さないから。

スカーレット。お前は、間違ってた。
レミリア君は、お前が思っていたより遥かに強いぞ。

措置は施した。これで暫く自分を見失う事はない。

ただ、それは今だけだ。この子は強い。成長すれば、今に僕の魔法など容易く解いてしまえる。
そうなったら、レミリア君。君に任せる。

違うのよ、ノーレッジ。
ただ、怖かっただけなんだ。縋るものが、みんな急に居なくなって。不安でたまらなかったの。
誰か一人でいい、隣に誰かが欲しかっただけ。誰かが覚えていてほしかった。記憶を共有してほしかった。縋れるほどに強い誰かが、ずっと一緒にいて欲しかった。
私は、誰より弱かったのよ。

父であり、母であり、妹であり、その全てを殺した殺人鬼。
私は、貴女を受け入れた。
かつての貴女の望みのままに。

※美鈴さんは弱いので縋れないし、記憶も持ってない
※ノーレッジ卿はずっと一緒にいるわけじゃない

※後でパチュリーさんがぶっ飛ばしてフランドールを奪還します

それじゃあ、仲良くやってくれよ。
待たんか父親。

普通の親は、仲良くやってほしい相手を殺せる武器なんて子供に持たせないわ。

ほれみろ父親。関係が交通事故だぞ。
父親?

逃げやがった。

いや、大丈夫だと思ったのね。本気で襲ってきた吸血鬼をのせるなら、何も問題ないって。
その信頼は有り難い。でもおかげで関係は修復不可能だよ、父親。
帰ったらブルゴーニュワインたかってやるからな。

眠れないのかしら、フランドール。
それじゃあ、私が絵本を読んであげましょう。

タイトルは、

『運命を壊す吸血鬼のお話』。

10時8分42秒。
彼女は、時を止める。