私は何を考えているのだろう。
誰かの言葉に仮託して、私の思いを口に出させているのだ。
それが嘘の始まり、成り済ました私の言葉に重みなど一つたりとてない。
安全圏だ。
批判は他人に刺さる。
干渉されないことが、私を守る唯一の術だと信じている。

いや、あるいは……
変わりたくないだけ。
そのままでいたいだけ。
過去の私を、忘れたくないだけ。
そうなのかもしれない。

いつまでも、昔のままで。
我儘。
身勝手。
傲慢なもの。
それでも、私はそんな存在だったんだと。
どんなに醜くても、留めておきたい。

それでも、先に進みたくて。
進んだふりがしたくて。
私は誰かをしゃべらせている。
私じゃない誰かをしゃべらせている。
誰かを先に進ませて、その轍を踏み荒らそうとしている。

間違いじゃない。それは理想を追いかける姿そのものだ。
けれど、それではただの繰り返しだ。
理想は理想から変わらず。
それを真似する木偶人形。
私はここでは生きていない。

いつかは、私も。
抱えなくていい。
引きずりながらでもいい。
私の過去を、持っていかなきゃいけない日がやってくるのだ。
崩れ落ちていく過去を武器として、立ち向かわなければならなくなるのだ。
未来のため。
自分のため。
理想を描くのではなく、自分自身が理想になることを。

幸せになるために。