up:: 蓬莱人形フランドール説第三稿第四話
same:: 蓬莱人形フランドール説第一稿第五話

おそらくタイミング良ければ山の上にいるであろうサグリに宛てて、屋上でパーティ始めます
煮ることもできるので時短に
この話忙しすぎて緩急つかないぞ

外で阿片を飲むか?
サグリに届けるのが目的だし、全部外で良くない? アヘン畑があろうが今めちゃくちゃハマるのは違うだろ。

 夕暮れ、七人になったボクらは立食パーティの準備をしていたんだ。明かりがサグリに見えるようにと、廃洋館の屋上で開催することにした。運良く風はなかった。
 屋上には森の幸やワイン、思い思いのアヘンパイプがずらりと並べられていた。森の幸は芥子坊主の液体を乾燥させている間に。ワインはアサが廃洋館の床を踏み抜いて見つけた地下のワインセラーから。アヘンパイプは各々の持ち物から。そして、それらを彩る蝋燭は部屋中を回って集めてきた。立ち上る煙から、いつか嗅いだような甘い香りがした。

「こんなのの何がいいんだか」

 文句を唱えながら、ドウは器に液体を注いだ。
 今日のパーティは異国風だ。必然、それを一番よく知っているボクが主催することになる。最も仕事が多くなったボクは、手伝いとして送られてきたドウと一緒に準備の仕上げを進めていたんだ。ボクの手元には、最も幼い彼に渡すのがちょうどいい仕事がたくさんあった。きっとそれを見越してメイが差し向けたんだろう。実際、ドウはローダナムを持ってきていた。メイだけが作れる液体だ。

「はい、全部できたよ。あとは皆を呼ぶだけだね」

 ローダナムの器をテーブルに戻し、ドウは足早に皆を呼ぼうとしていた。呼び止める。

「……何だよ。レンはインでも呼びにいけばいいだろ。僕に何か用でもあるのか」
「君はパーティに出席するかい?」
「するよ。でも、適当に食べたらさっさと出る。酒の匂いは嫌いだし、阿片の煙はもっと嫌いだ」
「だろうね。じゃあ出たら、ボクの部屋に来てくれ」
「……え?」

 何気なくそう言うと、ドウは体を強張らせた。瞳孔は散大し、顔は仄かに上気している。その向こうに、壁に半分身を隠したインが見えた。手を振って近寄る。

「ちょ、おい! それって、どういう」
「やあ、イン。ちょうどよかった、今呼ぶところだったよ」
「わひゃ!? なんっ、何で分かって」
「パーティの準備が終わったんだ。先に行っててくれ。ボクは皆を呼びにいくから」
「え、あ、手伝うよ!」
「恩に着るよ。それじゃあっちの方を頼んだ。ボクはこっちだね」
「……なら僕は二階に行ってくる」

 いつもよりも強く、全く地面を蹴るようにして彼は二階へ上がっていった。直したばかりの床が軋む音がした。

ここしれっと警戒心抜いてるんだな。まあ警戒であってよく気が付くわけじゃないから……?

 夜、いよいよパーティが始まったんだ。まずボクらは山を見ながらワインを掲げた。それから一息に呑み干し、味の評論を交わした。誰もがこんなおいしい酒は呑んだことが無いと驚いていた。他の酒が呑めなくなったら困るな、と冗談めかしてメイが言った。ドウは椅子の上に木の実のジュースと鹿肉を並べ、ちまちまと腹を満たしていた。彼は一度も顔を上げなかった。

 パーティでは、阿片を呑むのも自由だった。一人で呑む人も居れば、互いに火をつけ合って呑む人も居た。火をつけるのが一番上手なのはロウだ。焦がさないように煙を出すことはもちろん、あえて焦がして仄かな炭の味を楽しむこともできた。ちなみにその次はボクが上手いらしく、何度か火付けを頼まれた。随分上手くなったもんだとメイが言った。君の持ち方は上手くならないねとボクは言った。怒られた。

 パーティが終わると、いつの間にかドウが居なくなっていた。彼の蝋燭も吹き消されている。食べ終わったから部屋に行ったのだろうと当たりを付け、ボクは食器を持ちあげる。今度は甘い物を集めてパーティにしようとアサが提案していた。異論は出なかった。

 一人流し台に向かったボクは、食器を置いて部屋に向かった。

 果たして、それはそこに居た。倒れたドウの体。外れた頭。そばにいるそれの爪から、液体が滴っている。ぐじゅると泡立つような音が聞こえる。その大きさと華奢な陰影は、それが妖怪であるということを伝えていた。妖怪はボクがそこに来たのに気付くや否やこちらに飛び掛かってきた。ボクがレンであることには気づいていないようだった。

 ボクはその妖怪の目を狙い、針を投げた。手当をした妖怪から取り、そのまま持ち続けていたものだ。投げた拍子に血糊が少し剥がれ落ちる。

(危なぁ!?)

 妖怪は小声で叫びながら、既のところで体をひねった。外れた針が天井に音も無く埋まった。体勢を崩した妖怪はボクの横を通り過ぎ、地面に激突する前に側転に切り替え、改めてボクへ向き直った。

(……あっ、レン!? 誰かと思ったわよ! 感知が早すぎるでしょ!)
「ちゃんと見えたかい。それじゃ、退治されてくれ」
(お断り!)

 妖怪は爪を大きく振りかぶり、二度、三度とボクを切り裂こうとする。戦闘に慣れていないボクに、一つ、二つと傷が増えていく。

(目を狙ったんだもの。私も殺すつもりでいいわよね)
「当然さ。そうじゃなきゃ退治ごっこじゃない」

 四度目。その爪の振りは、二度目と同じ軌道を描いていた。ボクはそれを見て、指に針を添わせ、その針に当てるようにして爪を止める。同時にもう一本、針を弾いて飛ばした。狙う場所は喉。

「!」

 当たった。しかし芯をずらされてしまったらしく針が貫通する。更には妖怪の手が輝いたかと思えば、そこから光の弾が撃ち出されボクは吹き飛ばされた。受け身を取っても衝撃が残る。臓腑が揺れている。

「っふー。……何処がごっこなのよ」
「けほ。ごっこだよ。こんな針じゃ、君は消えないだろう」
「ハードルが……(ハードルがおかしいの! それ、巫女の針でしょ。刺さったら簡単には抜けないし、ろくに傷の再生もできなくなるし、身体はふらつくし……捨てなさいよ、そんな投げる風邪!)」
「酷い言い様だね。退治ごっこにぴったりだ」

 ポケットを手探り、針を数える。まともに刺さりそうな、状態の良い針はそう多くない、せいぜいが十本程度だ。そのうちの六本を指でしっかり挟み、投げの形を作る。

「少し騒がしくしたね。急ごう」
(同感!)

 ひと呼吸置いて、開けた距離が詰められていく。歩き、走り、跳ぶ。妖怪は跳ね回りながら前へ。ボクは針を投げながら後へ。不規則に動き回る妖怪に狙いが定まらない。残りの針が減っていく。八、七、五、四。

「トドメよ!」

 ボクの手から針が無くなり、両手をポケットに入れた瞬間だった。妖怪が地面を蹴り、左右から爪を振りかぶる。逃げるなら下か上だ、煩いくらいに予感がそう告げる。ボクはその予感を捻じ曲げ、それに足を掛けた。

「   …………!!?」

 蹴り上げたドウの頭は、妖怪の顔に深々と突き刺さった。勢い付けた爪は行き場を失い、ボクの脚を抉るだけに留まる。妖怪にとって予想外だっただろうその攻撃が、その体勢を整えるための力を奪う。結果的にボクは妖怪に押し倒されるような格好で床に転んだ。強かに頭を打ち、視界が青白に明滅する。

 天井が見える。すぐに、妖怪の顔が視界に入る。頬に殴りかかろうとしたが、肘から先が跳ね上がるだけだった。既に上腕が押さえられている。

「……ふふ、やるじゃないの。死体をあんな雑に扱って……あんた、本当に人間?」
「物を使っただけで、そこまで言われたのは初めてだ」
「仲悪かったの? まあ、いいわ。ともかく退治は失敗。どうなるか分かるわね」

妖怪は口を薄く開き、隙間から鋭い牙を覗かせている。

「察しはつくよ。でも妙だね、それをボクに聞く意味はなんだい」
「人間は嫌いじゃないもの。私より強い人間なら、なおさらね。むしろ好きなくらいよ」
「そうか」
「だから、さようなら」

 反射的に足に力を込める。動かない。腰指先で床を引っ掻く程度しかできない。牙が迫る。ボクは、その口を塞ぐことにした。

「…? !? ??!?」

 目を見開く妖怪の喉に、口に入れていた針を吹き出す。妖怪が眉を顰めたのを見て、ボクは口を離した。妖怪が飛び退く。

「っ……、ぺっ!」
「うん。吹き出す程度じゃ、すぐ抜けるんだね」

 妖怪が軽く咳き込むと、針がちりちりと床で微かな音を奏でた。妖怪は少しの間口元の血を拭っていたが、やがて膝を折り、床へと倒れ込む。

「ぁ……?」
「でも、そっちの針はよく効くんだ」

 倒れた妖怪の項で、針が三本輝いている。

「妖怪なのに、急所は人間と同じ場所なんだね。人間なのかい?」
「……なわけ……ないでしょ……」

「さて。終わったよ、メアリー」

「メアリー? 見てないのかい?」

 こと

「ひっ!」

 ケイとか、ロウとか予想
 困ったことになった、妖怪を見られた

「……イン」

 怯え

「あ、ああぁ……血が、違、違う、あ、あああ、ああああああああっっっ!!!」

 転びそうになりながら、走り出す

「イ」
「何だ今の……イン!? どこに行くんだ!?」
「くそっ! ケイ、アサ、頼んだ!」
「なんで僕!?」

窓開け飛び出し、隙間脱出

「きっ……!?」

木に着地

かげろーもいる

「ぐえっ。……ここは……?」
「私の監視塔ですわ」

メアリー
近くの木の上、ちょっとした拠点

人間一人くらい隙間で捕まえればいいのでは?
それは最後、脱出寸前まで抑えておきたい
 アサが止められたのにレンを止められず入ってきた、それを鑑みて注意を払った人払いを平然と破ったイン
 おそらく情報収集の本命と見て、ここで捕まえるか誤情報を持ち帰らすかで決めなきゃいけないが、そもそも気づいてるのかこの段階? メイがなんか言うまでご飯扱いだろうし出さないだけだ。それでも能力を破られたもんで少し焦るけどおくびに出す場合じゃない。他のやつに様子見させるのが一番。


というか前を改変して隙間持ってない設定にすればいいのでは?
でもそれならどうやって九尾調伏した?
あるいは出口を塞ぐのに全力とか。

「助けてくれたのね。ありがと」
「礼には及びませんわ。失態を回避するのが私の役目ですから」

「……ところで、なんで人間が居たわけ? キスメの時は誰にも見られなかったんでしょ?」
「それが私にも分からないのです。あの人間は私の能力を無視しているようで。私の能力が人間に破れるわけないんですけどねぇ」
「ずいぶんな自信ね……あんた、いつか死ぬわよ。私が言えた立場じゃないけどさー……」

「……ん? ちょっと待って、さっきの空間もあなたの能力なら……」
「あなたは人間を食べた」

首無し死体どさり

「それ以上に何か必要かしら?」
「あ、はい」

「メアリー。インは何処に行ったんだ」
「ええ、ちゃんと監視していますよ。妖怪もちゃんと差し向けるところですとも」

「この方向で、彼が知っている場所なんて一つしか……って、ちょっ、何処行くの!?」

 ボクが向かう先を選ぶのに迷いはなかった。立てた棒がからんと倒れたときのように、それ以外の道が頭の中から排除されているような、奇妙な感覚だった。
 程なくして、ボクは自分が森道を駆けていることに気がついた。前にサグリを追いかけたときは、根っこが多くてとても走れた道ではなかった。けれど今度は違う。引っかかる様子もない、疲れる気配もない。思い当たる節が一つあった。これは前にも通った道だ。

 視界が開ける。

 その大木は月明かりを背負って妖しく輝いていた。まるでその花弁の一つ一つが蝋燭になったように、辺りを桜色で染めている。大木はその重さを支えるように、しっかりと地面に根を絡ませていた。もう、ボクらが通ってきた道は見つからなかった。

 その幻想的な風景の中に、きつく編み込まれた縄が一際異彩を放ちながら揺れていた。風のない日だ。揺れる理由など一つしかない。ボクは夢我夢中になって、懐からナイフを投げた。手から離れたところで腕を掴まれ、口を塞がれ、物陰へと引きずり込まれる。その細い指には見覚えがあった。メアリーだ。

「なななな何してるの!?」

贔屓目に見ても退治の残弾扱いした人間を助けるのは分からない
その上妖怪からの覚えも悪くなるのでもっと分からない

 力が弱まった瞬間に振り払い、ボクは物陰から覗き見た。縄は切れていた。インは桜の木の下で、ゆらりと起き上がっていた。どこか人らしく感じなかった。

「やーっと森抜けたか、って」
「あ」

「何だはえーなお前ら。抜け道でも知ってたのか?」
「……私は監督係ですもの。早目に追いついて当然ですわ。それより目的の相手はあの桜の木の下ですよ」
「本当か! ありがとう、助かるぜ!」

「説明してもらうわよ、レン」

「追いながら話そう」

なぜここに
インが自殺すると思った
付き合いが長いから
ではなぜ自殺止めたか

「ボクはただ自分の目的に従っただけだよ。取引にも違反してない。『手引きをする』代わりに『退治ごっこをする』、そういう取り決めだっただろう」

「自殺じゃ困るよ。妖怪が人間を害せない。それじゃ退治できないじゃないか」

「……貴方、本当に人間なの?」
「酷いね君」

見つける
足止める

「よう。お前らか」

様子が変

「すまん! 見失った!」
「は?」

「手負いで、子供で、たった一人の相手を、見失った?」
「そうだ……ほんっと、すまん!」

「インは

「風上だね」
「……まあ、いいわ。困るのは貴方達だし。先に戻って待機なさい。次の作戦を組むわ」
「悪い! 後で埋め合わせるから!」
「いいから早く」

「いかないのかい?」
「少し休憩よ。……アクシデントはあったけど、ともかく試験は終了。これで正式に契約は結ばれたわ。次も手引きをよろしくね、レン」
「…………」

「……メアリー」
「何かしら」
「逃がしたことは気にするのに、逃げたことは気にしないのかい?」

「場合が違うのよ。貴方が逃がせば、それは契約違反。妖怪達とは対立し、確実に妖怪を退治できる今の立場を失いますわ。けれど彼らが勝手に逃げるのなら、私達の立場はそのまま。彼ら妖怪が逃したことにできるなら、尚更磐石ね」
「つまり、立場の維持の為に見逃したってことなんだね」
「そうなりますわ」

「ならどうして、彼をもう一度インに差し向けなかったんだい?」

「……」

「立場を維持するなら、妖怪にインを殺させるのが一番いい。彼ら妖怪は、正直村を食べるために狙っていたんだろう。だったらその願いを叶えれば立場は上がる。維持より、下がるより、ずっといい」

「君はこれができたはずだ。だってドウが孤立したときは、何も言わずとも妖怪を差し向けた。あれは誰か一人が逸れるまで、ボクらを監視していたからじゃないかい」

「二度目は無いとしているからです。人の命を狙う妖怪はゴマンと居ますわ。チャンスを二つ渡すほど、一度目は偉い存在ではないのです」

「なら」

にしては、様子が変だった
まるで、何か使命感に駆られているかのような

「それ以上を聞きたいなら、私を信頼させてみなさい」
どうやって
「今まで通りよ。貴方のやり方で、妖怪を退治する。それだけでいいのよ」

隙間開き
すぐそこだろうし歩けよ

「休憩は終わり。次の作戦を練りましょうか」

どこか小さく見える


「あいつなら、大したこた無かったぜ。さあ、俺を退治すんだろ? やってみろよ」

右手を見ている、引き返し

「かかってこい……えっ」
「えっ」

 メアリーもオドロキ

「君は誰も害していない」

「……な、なんで」
「…確かに、返り血も何もついていないのは不自然です。貴女達は人間を食べるために集まったのにね」

「別に怒ってませんよ。生かしたところで、あれはただの人間ですから。それに逃がして困るのは貴方ですもの」

まだ食べることしか考えてないので逃走に寛容
外には出てないし

「あなたの取り分はこれで終わり。元の住処に帰りなさい」

「静かに」
しぃ
周りを見回し、消えてく

「……おい、つい従ったけどよ。あれが俺の食い分だったんじゃねえのか?」
「そうなるね」

ぐっ

「裏切ったのか?」
「落ち着いて! 早計よ! まずは話を聞きましょう!」
「裏切る? なんのことだい。ボクはただ自分の目的に従っただけだよ。取引にも違反してない。『手引きをする』代わりに『退治ごっこをする』、そういう取り決めだっただろう」

「自殺されたら、君達妖怪が人を害したことにならない。そしたら君らを退治できなくなるじゃないか」

「退治なんざ後でも出来る。お前みたいな弱い人間の退治なんざ、いつ受けようが変わらねえ」

「何だって俺を止めた」

「……おい、つい従ったけどよ。あれが俺の食い分だったんじゃねえのか?」
「そうなるね。だから、こっちから回って」

指差し

「あ? なんだって決められなきゃ」
「あの子はとても臆病なんだ。下手に近づけば逃げられる。こっちは獣道だから音を抑えて行けるよ。君が先頭だ。早く」
「あ、ああ」

「説明してもらうわよ、レン」

なぜここに
インが自殺すると思った
付き合いが長いから
ではなぜ自殺止めたか

「自殺じゃ困るよ。妖怪が人間を害せない。それじゃ退治できないじゃないか」

「貴方、本当に人間なの?」
「酷いね君」

「いたぜ」

「急がないと、ケイ達が来る。決めるなら一瞬だ」
「へへへ、安心しな。もとより、そのつもりだ!」

何が起きた?
倒れている。死にかけている。
インじゃない。妖怪がだ。

妖怪を草むらに投げ捨てるイン
飛び出した草むらに目を向けるイン
メアリーに下げられるも、一瞬目が合うレン

やってくるケイとアサ

退去後

「……メアリー」
「分かってる、わかってるわ。いやでも……流石に、予想外よ」

「さあ、帰りましょう……」

隙間開き
飛び出る藍

「たっ、大変ですゆか」
「あああああああああああああああああ何!?」

集会にいなかった妖怪

「ルーミアが行動を開始しました!」
「……!? 嘘でしょ!? 一人で動くなってあれだけ言ったのに!」

「屋敷を闇で覆っています! 監視の目も届きません、ご助力願います!」

本当は手引きしてないのでその契約は無効だが、紫がそれをこの妖怪に伝えてないので契約が通る

手引きはしなきゃいけないので、どれだけドロドロだろうと戻らなきゃいけない

それと(性欲に)正直村は止めました。

リスクを負ったなら、見返りがあるべきだと思わない?」
「いいや。見返りはただの受け答えだよ。リスクを負ったかどうかは、それに関係ないさ」
「率直な考えですわね。でも現実は不思議なことに、見返りが欲しい人で溢れている。見返りが得られないとき、自分に責任は無いと思っている」


窓開けて飛び出す、足の怪我でバランス崩す
 掴んでもうワンジャンプ

「……詰めが……甘いったら、ないわ」
「助かったよ。ありがとう」
「私からも礼を言うわ」

「メアリー」

「……おい、つい従ったけどよ。あれが俺の食い分だったんじゃねえのか?」
「そうなるね」

ぐっ

「裏切ったのか?」
「落ち着いて! 早計よ! まずは話を聞きましょう!」
「裏切る? なんのことだい。ボクはただ自分の目的に従っただけだよ。取引にも違反してない。『手引きをする』代わりに『退治ごっこをする』、そういう取り決めだっただろう」

「自殺されたら、君達妖怪が人を害したことにならない。そしたら君らを退治できなくなるじゃないか」

契約の履行のためにこちらから相手の自由を奪うのはどうなんだろう?
喰い殺しやすいように道筋を整えるのが仕事なので、

「それと、今日……ボクはもう、へとへとなんだ。この足をご覧よ。こんな有り様で、退治ごっこができると思うかい」

そもそも走ってここ来てるから何言ってんだではある

//「大丈夫さ、明日にはまた手引きする。だから、今日は見逃したほうが良いと思わないかい?」
「大丈夫さ、ボクは治りが早い方だ。二日もすれば治る。だから、今日は見逃したほうが良いと思わないかい?」

「オマエ、頭が悪いのか? あいつは今一人なんだろ。だったら……俺一人ででも殺れるだろ!」
「ストップ」

「あぁ!? んだよ、メアリー!」
「勘違いをしているようでしたから。『一人』ではありませんよ。二人合流して現在は『三人』です。勝てますか?」

歯噛み

「……チッ!」
「賢明な判断ですわ……どこ行くの」
「拠点に帰んだよ! 付いてくんじゃねえぞ!」

もどる

「ありがとう、メアリー」
「気になさらず。……私も予想外だったもの。予想外のことが起きたら、一度リセットすればいい。それだけですわ」
「リセットってなんだい?」
「初期化って意味だけど。あなた、西方系ではないの?」
「大陸系だよ、ボクは」
「あら。ちょっと意外」

鬱蒼とした森

「そういえば、ドウの死体は」
「回収しました。あれは彼女の獲物ですからね」

「戻るの? 今の貴方、血と怪我でドロドロよ。どう釈明するつもりなの」

「彼に見られたわけですし、もう向こうには戻れないでしょうね。以降は外から手引きしたほうがいいわ」

「拠点に戻りましょう。大丈夫、まだあなたはこっちの一員よ。キスメの分の部屋を借りるくらいどうってことないわ」

ボクの肩口に噛み付いた。四肢を抑えている手足に、力が込められるのを感じた。

「……どうしたんだい?」

 しかし、妖怪はそこで動きを止めた。それはほんの一瞬だったかもしれない、けれどボクが残りの針を出して首を刺すのには十分だった。力が抜けた妖怪の体を蹴って退かし、ボクは再び立ち上がる。反対に、妖怪は床に倒れたまま捥がいている。口元には噛み千切ったボクの肉があった。

「これになにかあるのかい」

 

ボクの体の上で、妖怪が体勢を立て直す気配を感じた。すぐさま上体を起こし、頭を抱き締めて首に針を刺す

言葉を吐くよりも、なお質が悪い。
ただ予感だけ。それを掴んだ途端、『一番尤も』に変化する。
今までの価値観を、大切にする。
そこに変化は訪れない。

キスから針をぶっ刺そうと思ったが、
そこまで影狼が何もできないわけじゃないだろと思って止めた。
でも喉に刺すぐらいしないと呻くし、妖怪を食っても美味いだろ?

 判断する。退治するなら、何をするべきか。素早く構える。力を留める。視界が狭まる。ただそれだけが視界を埋める。放つ。

「っ……!!?」

 拳は過たず、妖怪の額を打ち抜いていた。その衝撃は

 この妖怪に、あの時のキスメのような分かりやすい弱点は確かにあった。けれど今のボクにそれは用意できない。次善の策はこれだけだった。一撃に全てを込めて上回る。それが出来なければ死んでいた。ただそれだけだった。

 体がぐらつく。地面が蒟蒻にでもなったかのように柔らかく感じた。無視していた体調不良が、全力を出したせいで牙を剥いていた。倒れないように何度も地を蹴る。折り重なった土がたん、たんと軽い音を立てる。ふと、地面が無くなった。ボクは深い谷に落ちていった。谷の中はいくつもの目がぎょろぎょろと蠢いていた。

その倒れ込みをそのまま拾う感じで
インからは消え去ったように見える

ベッド落ち、傍らの冷たい目をしたメアリー

「……少々、見誤ったかしらね」

なにが、とポツリ呟く

「驚いた。まだ起きてるの」

「それなら、拾ったのは余計なお世話だったかしらね」
「……そうじゃ、ないさ。ありがとう、メアリー」
「どういたしまして」

ぐるぐる

「メアリー。……彼女は、妖怪はどうなったんだ」
「気絶していたのを回収しましたわ。食べ残したドウの死体とか、飛び散った血とかも一緒に」
「そう……なんだ」

「ずいぶん疲れ果てているのね。そんなので次は平気なの?」
「平気だよ。だんだん、慣れてきた」
「それは危ない方だと思うけど」

「別に休んでいてもいいのよ。

「違う、違う、違うんだ。何かが……退治できてない。納得したのはボクだけだ。でも彼女は……帽子の子なら……」

「……ともかく、試験はこれで終了よ。これで正式に契約は結ばれた。次も手引きをよろしくね、レン」
「…………」

「ただ、一度に二人も孤立させるなら事前に言ってちょうだい」

「……何の事?」

「あなたがインって呼んでた子よ。きっと酒も阿片もそれほど呑まないようにしてたのでしょうね。全員が寝静まったところで、急に動いて森に入っていったわ」

「おかげで対応が遅れた。そっちは今、■■■が……まあ、名前はいいわ。別のやつに追わせてるから、すぐに私も」

ぐるぐる思考が回る
あのとき叫んだのは?
メアリーじゃない。インだ。

部屋を出る。

 行くあてはない。そのはずなのに、ボクが向かう先を選ぶのに迷いはなかった。立てた棒がからんと倒れたときのように、それ以外の道が頭の中から排除されているような、奇妙な感覚だった。
 程なくして、ボクは自分が森道を駆けていることに気がついた。前にサグリを追いかけたときは、根っこが多くてとても走れた道ではなかった。けれど今度は違う。引っかかる様子もない、疲れる気配もない。思い当たる節が一つあった。これは前にも通った道だ。

 視界が開ける。

 その大木は月明かりを背負って妖しく輝いていた。まるでその花弁の一つ一つが蝋燭になったように、辺りを桜色で染めている。大木はその重さを支えるように、しっかりと地面に根を絡ませていた。もう、ボクらが通ってきた道は見つからなかった。

 その幻想的な風景の中に、きつく編み込まれた縄が一際異彩を放ちながら揺れていた。風のない日だ。揺れる理由など一つしかない。ボクは夢我夢中になって、懐からナイフを投げた。手から離れたところで腕を掴まれ、口を塞がれ、物陰へと引きずり込まれる。その細い指には見覚えがあった。

桜の木の下教えるルート

これだと追ってきたケイがこの妖怪を見ちゃう
そうでないなら、インが単体で妖怪を跳ね返すしかない。人間ごっこ強すぎないか。自殺で霊感かなんか得てないか。それともこの妖怪がクソザコなのか。まあ雑魚いだろうな、だって臆病者に差し向けるならなあ……

メアリーだ。

「なななな何してるの!?」

 力が弱まった瞬間に振り払い、ボクは物陰から覗き見た。縄は切れていた。インは桜の木の下で、ゆらりと起き上がっていた。どこか人らしく感じなかった。

「やーっと森抜けたか、って」
「あ」

「何だはえーなお前ら。抜け道でも知ってたのか?」
「……私は監督係ですもの。早目に追いついて当然ですわ。それより目的の相手はあの桜の木の下ですよ」
「本当か! ありがとう、助かるぜ!」

「説明してもらうわよ、レン」

なぜここに
インが自殺すると思った
付き合いが長いから
ではなぜ自殺止めたか

「自殺じゃ困るよ。妖怪が人間を害せない。それじゃ退治できないじゃないか」

「……はあ。出る手段を封じなかった私の落ち度ね」

「それなら、あなたは次にこう言うのでしょう。退治しに行く、って……まだ私が話してますわよね?」
「早く行かなきゃ、害する瞬間が見られない。妖怪は一瞬で三度括り殺せるんだろう」
「それはそうですが。貴方、本当に人間なの?」
「酷いね君」

「話は終わりかい? それじゃ、ボクも追うよ」
「追う……って、休まないの!?」

見つける
足止める

「よう。お前らか」

「あいつなら、大したこた無かったぜ。さあ、俺を退治すんだろ? やってみろよ」

右手を見ている、引き返し

ただ単に見失った

「かかってこい……えっ」
「えっ」

 メアリーもオドロキ

「君は誰も害していない」

「……な、なんで」
「…確かに、返り血も何もついていないのは不自然です。貴女達は人間を食べるために集まったのにね」

「別に怒ってませんよ。生かしたところで、あれはただの人間ですから。それに逃がして困るのは貴方ですもの」

情報的にも、まあちょっとは渡そうと思ってたし別に
でもこの情報が聡明に持ち帰られたら面倒だし、そっちも監視しつつもうさっさと聡明を潰しに行かなきゃいけない
仕事増えたけど、まあ村だけだし、この辺で聡明を潰す必要はあったしいいよ

「あなたの取り分はこれで終わり。元の住処に帰りなさい」

……特に喋ることないな……
強いて言えば、次のことかな?

 ふう

「……アクシデントはあったけど。ともかく、試験はこれで終了よ。これで正式に契約は結ばれた。次も手引きをよろしくね、レン」
「…………」

「……メアリー」
「何かしら」
「逃がしたことは気にするのに、逃げたことは気にしないのかい?」

「場合が違うのよ。貴方が逃がせば、それは契約違反。妖怪達とは対立し、確実に妖怪を退治できる今の立場を失いますわ。けれど彼らが勝手に逃げるのなら、私達の立場はそのまま。彼ら妖怪が逃したことにできるなら、尚更磐石ね」
「つまり、立場の維持の為に見逃したってことなんだね」
「そうなりますわ」

「ならどうして、彼をもう一度インに差し向けなかったんだい?」

「……」

「立場を維持するなら、妖怪にインを殺させるのが一番いい。彼ら妖怪は、正直村を食べるために狙っていたんだろう。だったらその願いを叶えれば立場は上がる。維持より、下がるより、ずっといい」

「君はこれができたはずだ。だってドウが孤立したときは、何も言わずとも妖怪を差し向けた。あれは誰か一人が逸れるまで、ボクらを監視していたからじゃないかい」

「二度目は無いとしているからです。人の命を狙う妖怪はゴマンと居ますわ。チャンスを二つ渡すほど、一度目は偉い存在ではないのです」

「なら」

にしては、様子が変だった
まるで、何か使命感に駆られているかのような

「それ以上を聞きたいなら、私を信頼させてみなさい」
どうやって
「今まで通りよ。貴方のやり方で、妖怪を退治する。それだけでいいのよ」

「さあ。次の作戦を練りましょうか」

どこか小さく見える

「何か疑っているのかしら? 

「メアリー。君はボクが妖怪を舐めている、って言っていたけど……君もボクらを侮っているんじゃないか」

「……警戒していて、正解だった」

監視すると息巻いていた妖怪だった

「言い逃れようのない裏切りだ。貴様は食い殺す」

手からナイフを取り落とす
どさりという音、落ちてるイン

「……!? 馬鹿な、止めたはず……」

ナイフが消えてる
捻って外す

「やあ、メアリー」
「馬鹿! 本当に迂闊よ、貴女!」

「メアリー。そいつを庇うつもりか」
「今はね! ……いいかしら? レン。一つずつ、何を思って、何をしたのか言ってちょうだい」

なぜここに
インが自殺すると思った
付き合いが長いから
ではなぜ自殺止めたか

「自殺じゃ困るよ。妖怪が人間を害せない。それじゃ退治できないじゃないか」

長く息を吐く

「……彼女は、目的に沿って動いただけですわ」
「それを信用しろというのか?」

「悪いが、もうそいつを信じる事はできない。せっかくの簡単に食えるチャンスをふいにしたのだぞ。信じられるものか」

「だから殺す。内憂は断つべきだ」

レンの目的は妖怪退治
妖怪の目的は人間捕食
メアリーの目的は外に情報をほんの僅かだけ流し、黒幕にここはこういう場所だっていうコミュニケーションとること
黒幕が何なのかはっきりしないときにそれは悪手な気もする。けど黒幕がいるくらいのイレギュラーじゃないと、そもそもただの妖怪の捕食に紫さん自体がついてくる理由が……博麗の巫女を害そうとしたから出てきて、妖怪一団へのアクセスを担う……担わないとどうなるんだこれ?

隙間切って交わし、五指を切って外す

「はっ……早いのよ、貴女……!」
「……やはりお前か。八雲紫」

「私だと気づいた上で、私の配下を殺そうとしたの……!?」
「我々妖怪を守るためだ。誰の配下だろうと関係ない」

「……レン。それで、あなたはどうしてここに居るの?」

とりあえず紫とバレた以上は、置き続けるわけに行かない
次はこいつを送り出してさっさと食って帰ってもらう

「見ろ紫! これでもこいつを使い続けるのか!」
「……はあ。貴方がここまで愚かとは……」

このルートはできるんだけど、いくら何でもこいつが道化すぎる……
そもそも退治が怖いからこの人間を殺そうとしてるんだし。クソ弱い人間が人間襲う手引きをする代わりに退治ごっこ(返り討ち可)を提案してるっていう、ローリスクハイリターンなこの状況を怖いからの一言でぶち壊すのはかなり馬鹿だぞ。いやまあ、聡明以降は間違ってないんだけどさ。
そのへん書き直せばいいか? でもどのみち八雲バレしたんなら記憶イジるんじゃないか。
内ゲバってると正規で呼んだ妖怪が来ちゃう。これが来るとゆかりバレが伝染する。やばいやばい。

「一つ聞かせてくれ! あいつは……インは、この後どうなるんだ!」
「さあ。他の妖怪が殺すかもしれないし、ただどこかで野垂れ死ぬかもしれない。

「……知ってるだろうが。退治中の不慮の事故で死んじまう巫女は、結構多いんだぜ」

「気絶していたのを回収しましたわ。食べ残したドウの死体とか、飛び散った血とかも一緒に。これは退治ごっこではないのかしら?」

「違う、違う、違うんだ。何かが……退治できてない。納得したのはボクだけだ。でも彼女は……帽子の子なら……」

「……ともかく、試験はこれで終了よ。これで正式に契約は結ばれた。次も手引きをよろしくね、レン」
「…………」

「なんでもないわ。それより、なぜ拳を振るったのかしら」

「あの妖怪は、退治できなかったんだ」

「何も出来なかった。何をすればいいか分からなかった。でも何もしないわけには行かなかった。他に退治できる瞬間はきっと無かった。帽子の子みたいに、自分の全てをかけて戦う。それしか出来なかった」

 ねじけた右腕

「おはよう。なんでもないわ、

 ごと、と音がした。
 階下からだ。

音がするのはおかしい、だってメアリーの偽装だぞ
でも早起きに抜かれる程度の偽装だしな……運命操作バフのおかげだと思えば。

 あんな音を出せるものは階下にない、とメイは言った。ボクらはそれを信じて階段を下りたんだ。踊り場から見える廊下を、血の線が横切っていた。正面を切っていたロウの足が早まった。

 血の線は窓の外へ伸びていた。誰も何も言わなかったけれど、何が起きたかはすぐにわかった。もう助からない、外は暗闇だ、見つかる前にまた誰かいなくなってしまう。メイとケイは必死に他の皆を説得していた。それは正しかった。

 ボクは外に出た。あの血はきっとドウのものだ。だったら、妖怪は無事に人を害したことになる。ボクが躊躇う理由はどこにもない。ささやかな月の光は森の木の下までは届かなかった。どこまでも続く闇の中を迷いなく進む。

「レン!」

 誰かが叫んだ。けれど僕にはそれが誰なのか分からなかった。意識が薄れる。瞼が落ちる。

龍、麒麟、鳳凰、霊亀
紫、フランドール、妹紅、霊夢

「え……あの縄、まさか……!」
「……! イン!」

 ケイ、身元確認

「馬鹿が、こんなことしやがって……! 息は……」

 小声

「とっ、とにかく貴方は部屋に戻すわよ! ほら、入って!」

あの目が真っ直ぐ、ボクを射抜いていた気がしたんだ。
隙間とじ

「……こちらからルールを敷いて……誰もかもを納得させるには……」

私は、力以外の退治の方法を知りたかったのよ」

この楽園を、楽園のままにしておくには、どうしても妖怪を退治する必要があったのです」

 
 ボクらは廃洋館を調べる班と、外を調べる班に分かれてドウを探したんだ。ボクは外を選んだ。一緒にいたのはアサとロウだった。

 ボクらは暫く探し続けたけれど、どこにもドウは見つからなかった。つかず離れない程度の距離を保って、草叢をかき分け続ける。ふと、ボクは木の上を見たんだ。蝋燭で

 
 
 
 廊下を見て回る途中で、ドアの下の隙間から血が漏れ出している部屋があった。ボクの部屋だった。開いて見てみると、それは赤色でくまなく染められていた。窓は開け放たれていた。

ボクの部屋から血が出てたらピエロが紛れてるなんて今更考えないんだよな聡明。

 
 
 
 それでも自分の食器を片付けないのはいけない、言っておかねばと使命に燃えながら、ロウが自分の分と一緒に運んでいた。

「なんでがっつり寝てるのよ」

 突然世界がひっくり返った。起きたばかりの体で何とか地面を踏みしめる。ふと上を見ると、沢山の目が隙間からこちらを覗いていた。

「おはよう、メアリー」
「おはよう。見事な手腕だったわよ」
「そうかな? ボクはただ、休めてバレない場所を指定しただけだったよ」
「確かに、休めるかで言うなら微妙ですが……その指定がほとんど知られていないのが良いのです。大胆不敵かつ慎重居士。シンプル・イズ・ベストですわ」
「良く分からないけど、褒めているんだね。ありがとう」

「ただ、一度に二人も孤立させるなら事前に言ってちょうだい」

「……何の事?」

「あなたがインって呼んでた子よ。きっと酒も阿片もそれほど呑まないようにしてたのでしょうね。全員が寝静まったところで、急に動いて森に入っていったわ」

「おかげで対応が遅れた。そっちは今、■■■が……まあ、名前はいいわ。別のやつに追わせてるから、すぐに私も」

隙間イン

「えっ、ちょっと!?」

家帰還、走り出し
あるいは目の前

 視界が開ける。

 その大木は月明かりを背負って妖しく輝いていた。まるでその花弁の一つ一つが蝋燭になったように、辺りを桜色で染めている。大木はその重さを支えるように、しっかりと地面に根を絡ませていた。もう、ボクらが通ってきた道は見つからなかった。

 その幻想的な風景の中に、きつく編み込まれた縄が一際異彩を放ちながら揺れていた。風のない日だ。揺れる理由など一つしかない。ボクは夢我夢中になって、懐からナイフを投げた。手から離れたところで腕を掴まれ、口を塞がれ、物陰へと引きずり込まれる。その細い指には見覚えがあった。メアリーだ。

「なななな何してるの!?」

 力が弱まった瞬間に振り払い、ボクは物陰から覗き見た。縄は切れていた。インは桜の木の下で、うつ伏せにへたり込んでいた。その背が僅かに上下するのが見えた。

「……急に飛び出した理由は分かりました。時間が無かったことも。ですが、貴方が何も言わなかったのは事実。今回は貸し一つにします」

各々が部屋に帰るのに合わせ、ボクも部屋に戻った。ドウは居ない。開け放していた窓からは森だけが見えた。ドアを閉め、鍵をかける。振り返るとそこにメアリーが居た。

「やあ、こんばんは」
「今晩は。素晴らしい働きでしたわ」

「ドウの死体はこちらで回収しました。血の一滴も逃さない、完璧な処理ですわ。暴かれる心配はありません」
「それは助かるね。」

「これくらいは造作もありません。

 

夕暮れ
パーティ準備
阿片、酒、山の幸
ドウと一緒
メイが差し向けた?
レン、部屋に誘う
追求は隠れてたインを見つけることでかわす


ワイン掲げ
ドウは椅子で、机届かないし
阿片呑み
二番目に火をつけるのがうまいレン
メイ褒める
パーティ終了
食器運び
幼いを殺した妖怪を発見
一撃殴り、妖怪は気絶
ウェアウルフはこの時点で無敵、というか妖怪っていうより罪人の罰とかバーサーカーみたいな扱い
メアリーに回収される
インが目撃、思い人消滅

メアリーと会話
良くないところで会いましたわ、と
インに見られてたことを言う、今回は臆病なのでいいが、聡明に報告されたら面倒なんで
美しい、脱出
美しい、縄を切って助ける
臆病、覚醒

メアリーの仕事は妖怪がきっちりこいつら殺せるように監視すること
それだけだと縄切りに対して咎める。なので妖怪退治で説得。

妖怪の仕事は腹満たし。縛りは紫の条件と妖怪の意地。紫の条件は一人になったところを狙え。妖怪の意地は一匹一人。自分の食い扶持くらいは自分で稼いでくれないとなあ? 天邪鬼はバグ。
これだと縄切りに対して突っ込まない理由がない。メアリーも先に妖怪を呼んでるだろうし。なので妖怪止めなきゃ人間のフリしてるだけの臆病が死ぬ。
そして妖怪が行くなら勿論レンも行く。

……ただの妖怪のガス抜きにしては監視過剰では? 運命操作にしても露骨すぎて普通に藍が止めるぞ。やっぱりどこかしらの操作ってところは抜いておくべきなんじゃ。それだけ聡明がヤバイのか。それ抜かれてると臆病を逃すはずがないんだよな。裏側の存在も気づいて、ちょっとなら情報渡したほうがいいって思ってるならこいつを最後の目撃者としてもいいか。

一応、妖怪がレンを見逃す理由を考えてみる。…………こいつ妖怪なんじゃ……でも人間が少なくとも八人出てくる物語であるっていうのは、最後の終わり方「八人ほど人間が減った」で確定してるはず。となると普通にどっかに隠れてやり過ごしたのか。臆病で人間のフリ、つまりレンと同じような目の前の現実を見て当然あるべき形へ導く能力を手に入れたとしたら、臆病な分隠れ場所を吟味して……それできるの、人の気持ちが分かるやつか何度も失敗したやつだが。全員に毒薬打ち込むこいつが前者なわけないが、後者なのか……? 極限まで失敗を削るようにしてるとか。

お酒と阿片を多めに、幼いをパーティ会場から誘き出す
妖怪、首一閃
美しい、そいつをぶん殴る
妖怪一匹、かなりの大ダメージ
まあ一回くらいなら契約の範囲内だし、その妖怪が弱かっただけかもだし、死んじゃいないわけだし
臆病、逃げ出す
いち早く美しいが何か違うことに気がついた
それを誰にも言わずに逃亡? 正直者判定?
誰にも何も聞かれなかっただけだから……
美しい、縄を切って助ける
他殺じゃないと悪い妖怪が増えないだろ!
臆病、覚醒
毒探しと縄梯子
聡明、大人びた、警戒心、早起き、美しいを妖怪が暗闇へ運ぶ

マジで首を一閃するのがすごい困る。聡明は暗闇に沈んでるのが一層困る。暗闇っつったらルーミアだけど、それ出すと手前二人もモブじゃいられないじゃないですか。ルーミアの前任の宵闇とかでもいいけど。だからその首一閃も含めてルーミアにしてしまえと思ったんだった。

人形は必ずリアルタイムで人間が操作してる。

幼いはこっそり一人で抜け出してる、暗闇で殺されてる、あっさりっていうとこから多分一撃。
なのでレンが抜け出したことに気付くかというと……元のプロットだと、気づいた上でついてって殺害の瞬間を目撃、そのまま退治に移るが。そもそももって簡単に屋敷内まで侵入できるのかって思ったけど、そういやこの屋敷妖怪方が用意したんだ。だからワインセラー拡張できたし。抜け穴の一つや二つあってもおかしくない。そして臆病がそれを目撃、自殺未遂、追いついてきた美しいが縄カットになる。なんでこいつ自分が切ったことバレてないんだ?
レンが気づかない場合、退治は後回しになる。それの何がまずいって、……退治のためにこのあとすぐ駆け出す可能性があること? パーティ終了後即外に出ていくと流石に気付かれるし怪しすぎる。お前ついこないだ行方不明から帰ってきたばっかなのに。
でも次のキルがまず全員暗闇に運ぶとこからなので、そのへん気づかれることこそスパイスになったりならなかったり。

でもそういや暗闇イベントがあるわけだが、これどうやって手引きするんだ。ストレートに行くと酒に何か盛って、全員地下まで運ぶ。妖怪特有の微パワー。いやでも試験終わったからこれくらいみんなで運ぼうぜ。……それで気づかなかったなら、どうしてここで全員殺さなかったんだ……? それぞれ別の場所に監禁してひねり潰せば助けを呼ばれる心配も無いのに。マジで意味わからん。妖怪の縛りがそんなに厳しいのかこの時代。……殺すというより、恐怖を食べる系なのかこいつら? でも殺すときは一瞬だしなあ。この聡明のときだけ恐怖食べる系だったのか。
手引きは退治のあくまで言い訳でしかないから、メアリが手を貸してもいいんだろうか。手引きタスクは妖怪バレで消せるが、この暗闇運びで殺さない理由は何もない。

次あいつか……あいつかーみたいな会話。
でも求聞史紀設定で妖怪はあくまで空腹を満たすために人間を捕食するとある。恐怖を食べる系とかどこにも無かった。これもう実は妖怪じゃないんじゃないかこいつら。妖精のいたずらレベルでは? いや流石にそれじゃ首飛ばないよな……妖獣なのか? もうカウントそれくらいしか残ってないぞ。獣人は人寄りだからこういうのしないし。ただあいつら妖怪より精神弱いから恐怖食べる系なわけないんだ。

もっとシンプル。五人が暗闇に連れて行かれた理由。ここがルーミアなのでは。だったら聡明一人だけ殺す理由が……自分も見えない中頑張って探してて、ようやく見つけたのがこいつってオチでは? でもそのレベルの闇なら聡明が残る理由がますます分からん。あまりに不自然なもんだからこんな超常から逃げるの無理だって考えた聡明、取引戦闘を考えその場に残る。ぶっちゃけ駄目だったとしても一人囮ができるならそれでもいいかな。あとはケイに頼んだ。ところがこの暗闇は洋館に張られたもので……とかならまあ何とかならなくもないか。だったらその洋館にまだ住むのはだいぶ馬鹿な気がするが。まだ聡明が張った罠が残ってるとか? 臆病に止められたとか? 掘っ立て小屋に住むよりかはセキュリティ高そうだけど。

これで聡明がこの暗闇の妖怪を殺せた……はずもないよなあ、だって謂れのあるアイテムなんてこいつ持っちゃいない。プレス版を採用してもせいぜいが人形の本物の目玉くらいだぞ。その上こんな派手にできるのは妖怪だろうから、ガチ四肢捥ぎでもあっさり治るぞ。後で札で封印できればいい感じだが、美しいが札を手に入れるタイミングなんてあるか。能力譲渡の媒介とか?

仮に聡明がマジで全部、紅魔館に動かされてる事まで全部感づいたとしたら、どんな思考回路だ。

全く、僕がこんなことをする羽目になるとは。この楽園に入ったときには思いもよらなかった。幸いにも武器はある。ポケットにしまった、小さく心もとないナイフだが、無いよりはマシだ。

…………。
……何故、ナイフを持っている?
これの出処はわかる。拠点から持ってきたのだ。この楽園に入る前、ここから先は十分に警戒が必要な場所だと思って……思っていたのは、サグリに言われてあの穴を発見したときだ。それから僕らは、サグリについていく形で穴に入っていった。順序が逆だ。ナイフを拠点から持ってくる暇などない。なのに僕は、最初からナイフを持ってきていたんだ。まるでどこに行くのか既に知っていたかのように。そして今に至るまで、誰一人拠点に戻ろうと言わなかった。何一つ、準備に不備が無かったかのように。

怪物に狙われているのだってそうだ。
考え方は単純だ。僕らを狙うだけの理由が、僕らにある。

僕らのうち誰か一人は、殺してはならない相手なのではないか?
そしてそれが居ることはわかっていても、誰なのかはわかっていない。
だから一人一人潰した。可能性の無いやつを消去した。

ほかから引き剥がして、一人ずつに裏切るかどうかを聞いた。

一人ずつを殺して得られる

つまりあの妖怪にとって不都合な何かを背負っているからこそ、僕らは一度には殺されない。

そもそも僕を含めて誰一人、拠点に戻ろうと言わなかったのが不思議なのだ。穴の向こうは未知の場所だ。たとえ僕が言わなくても、ケイがそれを提案するはずだ。それ以上に僕は、サグリを一人にするのが心配だったのだろうか? それなら、僕は何故サグリを偵察に出したんだ。サグリは身体能力が高い。何かあっても、あいつ一人の方が逃げやすいと、そう思ったからじゃないか。それなら穴に初めて入った時だけ追いかけるのは変だ。 

 誰でも良かったなら、八人組よりも一人や二人組を狙ったほうが明らかに良い。仮に僕らが最小人数なら、僕ら八人以上に人が来ているこの楽園で、誰にも会わずその痕跡すら見つからないなんてことはあるだろうか。たまたま八人組でも構わず狙うようなやつに当たった? それなら全員を一気に殺しに来る。

この闇にしたってそうだ。僕たちは正直村だ、常人よりも暗闇に慣れている。それなのに、この暗闇の中は何も見通せない。二年の空白が空いているから? だとしても、この暗さは異常だ。これほどの暗さが作れるはずがない。だってここは、十日程度僕らが過ごしていた廃洋館じゃないか。物の配置、壁の質感、踏み抜いた床までもが同じだ。それなのに、玄関の天井の穴からすら光が差さないなんてあり得ない。けれど、あり得ている。僕はここにいる。


パーティ
お酒と阿片を多めに、幼いをパーティ会場から誘き出す
妖怪、首一閃
美しい、そいつをぶん殴る
妖怪一匹、かなりの大ダメージ
まあ一回くらいなら契約の範囲内だし、その妖怪が弱かっただけかもだし、死んじゃいないわけだし
臆病、逃げ出す
いち早く美しいが何か違うことに気がついた
それを誰にも言わずに逃亡? 正直者判定?
誰にも何も聞かれなかっただけだから……
美しい、縄を切って助ける
他殺じゃないと悪い妖怪が増えないだろ!
臆病、覚醒
毒探しと縄梯子
聡明、大人びた、警戒心、早起き、美しいを妖怪が暗闇へ運ぶ

夜、六人は異国風のパーティを開催した。最も幼い僕はま
だお酒も阿片も飲めなかったのでひどく退屈だったんだ。
僕は一人でこっそりその場から抜け出したんだけど、暗闇
で不吉なピエロに捕まってしまったんだ。僕は、あっさり
首を切られた。もう退屈することも二度と出来なかった。
残りの正直者は五人になった。

 ふわりと浮かぶような快感に恍惚としながら、ボクらは天井を見上げて訥々と話し合った。返事が帰ってくることを期待しない、自分自身に向けた言葉でロビーが少しずつ埋もれていく。いつか見た穴からは、今日は一等星の光が見えた。

 皆が陶酔感に浸っているのを見て、ボクは部屋に戻った。

食器を運ぶ横で阿片パイプがちらちらと視界に入っていた。

ドウは木の実で作ったジュースをちまちまと飲みながら鹿肉を切っていた。彼は一度も顔を上げなかった。

ボクらはロビーに寝ころび、阿片を練って火をつけ合った。

ここでインは勝手に首吊って、勝手にミスる
運命操作辺りだろうと思うが

インの首吊りは勝手にミスるか?

ドウを殺したやつへの退治はあとで。

阿片は外だと呑みにくいから、後の楽しみとして階段に置いた。

 深夜。衣が擦れるような音で、ボクは目覚めた。ゆるゆると体を起こすと、急にその音は足早になり、そして勢い良くロビーの扉が閉められた。扉の近くには誰もいない。足音は離れていっている。誰か出ていったのだろうかと、ロビーに差し込む薄明かりで寝ている皆を数えた。誰もが近くにお気に入りのアヘンパイプを投げ出して眠っていた。

 そうして数えて、インが足りないのに気づいた。けれどボクはその判断を訝った。あの子はボクらの中で最も臆病だ。こんな深夜に外に出る理由がない。疑問に思ったボクは、その足音を追いかける事にした。

ここで頚椎骨折しないあたり、臆病はそこそこ軽いのかもしれない
軽い重りに投げナイフでブチ切れるあたり、古い縄なのか細い縄なのか投げナイフの制御が化物なのか切れ味やべーのか。
どっかに入れたい

「あー。好機だったのに。あんたが追いつくくらいだ、他もすぐ来ちゃうんだろ。こういう事されちゃ困るな」

「じゃあな……って、あんたかい。何やってんだ、こんなとこで?」

縄を引っ掛けた

「メアリー。ボクをインのとこに送ってくれ」
「え?」

「どうしたのよ、急に。第一そんなことしないわよ。私が正体を見抜かれるリスクを負ってまで送る理由が」
「インは自殺するつもりだ」

「……」
「分からないのか? 巫女は人を害した妖怪を退治するんだ。人が減ったら、妖怪はどうして人を害することができるんだ」

「そんな簡単に死ぬ人間が……」
「それがインなんだよ。早くして、メアリー。取り返しがつかなくなる」

「……じゃあ、貸し一よ。そのうち私の頼みを聞きなさい」

「ありがとう」

 

机の上には山の幸や阿片器具、それにワイン瓶がずらりと並べられていた。アサが廃洋館の床を踏み抜いて地下のワインセラーを見つけたおかげだった。乗り気じゃなかったケイやインも、

 ずらりと並べられた山の幸、器具とワイン瓶の数々。明りになる蝋燭は部屋中を回って集めてきた。火をつけると、いつか嗅いだような甘い香りがした。記憶を探る。実家だ。

夕暮れ。七人になったボクらは、パーティの準備をしていた。芥子坊主を掻き取り乾燥させていたころ、アサが廃洋館の床を踏み抜き、地下のワインセラーを見つけていた。

 ワインを飲んだ。口当たりは柔らかく、芳醇な香りが体を満たし、体を仄かにずつ温める。今まで飲んだ、どんな酒よりも遥かに美味しかった。

理想明確で手段クソだから、このインを一人にするということをクッソ雑に行う。
ただし逃げ道は確保してる。ここが博麗力の使いどころ。

芥子坊主を掻き取り乾燥させていたころ、

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